HPLC 装置 FAQ

ポンプ

カラムオープンコンパートメント

オートサンプラー

UV検出器

Corona検出器

Easy-nLC


ポンプ

順相溶媒を使用する時の注意点

システムが順相仕様になっている事が必要です。特にポンプでは逆相仕様のピストンシールやリアシールでは順送溶媒によりダメージを受け液漏れの原因になりますので、弊社サービスによる順送仕様への変更が必要です。

ポンプの脈流の対処方法

ポンプのアクセサリに同梱されているパージ専用シリンジをパージバルブ下部に接続されているシリコンチューブの先端に接続し、ポンプのパージ操作を繰り返し行いながらシリンジにて溶媒を吸引してください。
ポンプ流路にエアが混入している場合は、この操作でエアが容易に除去できます。
それでも症状が続く場合は、チェックバルブの固着による送液不良が考えられますので、in,outのバルブを取り外し(取扱説明書参照)、メタノールにて超音波洗浄を5分程行う事で症状が改善する可能性があります。

イベントハンドラーエラーが出てシーケンスをスタートできないときの対処方法

ポンプのパージ操作を行う事で症状を改善できる可能性があります。
ポンプのパージバルブを開放状態にしていただき、パージボタンよりポンプのパージを実施ください。
DGPポンプをご使用されている場合には、左右両ポンプのパージをご実施ください。
Vanquish Solvent Monitorがある場合は移動相残量や廃液の量をご確認いただきリセットをかけてください。


カラムオープンコンパートメント

Viperフィンガータイトフィッティングについて

Thermo Scientific™ Viper™ /nano Viper™ Fingertight Fittings

Viperフィンガータイトフィッティングの取り付け

Viper SSTおよびViper MP35N、ViperPEEK、NanoViperはそれぞれ下記の圧力に対応しています。
ViperSST(ステンレス):最大1300 bar(19,000 psi)
Viper MP35N(非鉄合金製):最大1500 bar(22,000 psi)
Viper PEEK(ピーク樹脂):最大345 bar(5000 psi)
NanoViper(フューズドシリカ):最大1200 bar(17,400 psi)

 

先端にPEEKシールを用いている事により、ViperおよびnanoViperはさまざまな接続 形状に対応し、手で締めるわずかな力で十分な耐圧を得ることが出来ます。そのため大きな力で締め付けすぎると破損するケースがありますので、下記の手順に 従って接続してください。

 

取り付け手順

1. Viperフィッティングを接続したいモジュールやバルブ、カラムなどの接続部分に挿入し、ゆっくりと軽く抵抗がある部分まで締め付けます。このときが初期の状態で角度として0°となります。必ず付属の黒い手締め用のアダプターを使用し、その他のツールは用 いないでください。スムーズに締め付け出来ない場合は、一度反回転させてから再度締め付けしてください。無理に締め付けるとカラムから Viperが外せなくなる恐れがあります。

 

2. 黒い手締め用のアダプターを時計方向に0°から45°の角度になるまで締め付け、分析に必要な流量まで液を流します。このときに、接続部分からの漏れがないかを確認します。 通常、このViperフィッティングは、0°から45° の角度まで締め付けることで最高120MPa(1,200bar)までの耐圧を持っています。

3. 分析条件の流量で送液したときに、漏れが起こる場合には漏れが止まるまで徐々にこのアダプターを回して締め付けてください。この場合、90°以上の角度にならないようにご注意ください。締めすぎた場合、PEEKシールが変形して大きなダメージとなり、使用できなくなります。

 

しっかりと手で固定したりすることが難しいカラムなどのアイテムの接続おおよびMP35Nキャピラリーの接続については次の手順に従ってください。

  1. カラムの両端にあるViperフィッティングを取り、各サイトで最大0〜90度の角度になるように反対方向に同時にねじります。
  2. 送液を開始し、圧力を数秒間上げてから、送液を停止します。
  3. カラムの両端にあるViperフィッティングを取り、反対方向に同時に数度さらに締めます。

取り付けの注意と交換時期

  • Viperフィッティングを長くお使い頂くために、このフィッティングの接続時、取り外し時の操作をシステム圧力が大気圧状態にしてから行ってください。これらの操作を高圧化で操作するとViperフィッティングの寿命を短くすることになります。
  • Viperの先端のPEEKシールは接続するカラムに合うように設計されています。異なるカラム 間で接続を繰り返していると、接続時にリークやPEEKシールの欠損や詰まりを生じる事がございます。
    →アダプターの使用をお勧めします。(以下に追記されております。)
  • スムーズに締め付け出来ない場合は、一度反回転させてから再度締め付けしてください。無理に締め付けるとカラムからViperが外せなくなる恐れがあります。
  • PEEK製のカラムジャケットを用いたカラムへの使用は推奨できません。
  • Viperの先端のPEEKシールに損傷や欠損があるものや、先端が折れ曲がっているものは使用しないでください。
シールの損傷
シールの欠損
先端の折れ曲がり

Viperに適合しないカラム

Viperフィッテングはほとんどのカラムに対して適合しますが、特定のブランドやカラムタイプに関わらず、Viperの状態やカラム側の状態により適合しない場合がございます。下記に適合しなかった事があるカラムをご提示します。但し、こちらのカラムが全て適合しないわけではないので、一度お試しください。Viperの取り付け手順通りに接続した際に液漏れが生じる場合は、そのままの使用は避けて頂き、アダプターやその他の配管のご使用をお勧めいたします。

  • 旧型のWatersのカラム
  • Shodexや東ソーのSEC/GPCカラム

 

Viperアダプター

P/N 6261.5065 Viper Adapter
材質:ステンレス
最大耐圧:1,500bar
フィルター:なし
カラムID適合:2.1 mm 以上

接続手順

  1. Viperアダプターを1/4インチのレンチを用いて、カラムのINとOUTにそれぞれ接続します。しっかりと接続してください。
  2. Viperキャピラリー、プレカラムヒーターまたはポストカラムクーラーをカラムに装着したViperアダプターに直接取り付けます。
  3. Viperアダプターは一度取り付けたカラム専用にして、カラムを外す時もViperアダプターは外さないでください。
Viperアダプターに取り付けられたViperキャピラリーの概略図
ViperアダプターにViperを接続した状態
Viperアダプターにピーク配管を接続した状態
  SST Viper PEEK Viper MP35N nanoViper
チューブタイプ フレキシブルなステンレス(SST) PEEK™ MS35N フューズドシリカ+
PEEK™
接液部材質 PEEK™, SST PEEK™ PEEK™, MS35N PEEK™, fused silica
最大耐圧 1310 bar 345 bar 1500 bar 1200 bar
(19,000 psi) (5,000 psi) (22,000 psi) (17,400 psi)
最高温度 120 ℃ 30 ℃ 120 ℃ 80 ℃
Viper ナットねじ式 10-32 ねじ式ポートと互換
外径 0.79 mm(1/32")
内径(ID)
ID-カラーコード
100 μm(0.004”) 65 μm(0.0025”) 100 μm(0.004”) 10 μm(0.0004”)
130 μm(0.005”) 90 μm(0.0035”) 130 μm(0.005”) 20 μm(0.0008”)
180 μm(0.007”) 130 μm(0.005”) 180 μm(0.007”)
50 μm(0.0020”)
      75 μm(0.0030”)
100 μm(0.004”)
150 μm(0.006”)
長さ 65 mm~ 950 mm 65 mm~ 850 mm 65 mm~ 950 mm 70 mm~ 1110 mm
※長さのカスタマイズが可能
Viper
nanoViper

オートサンプラー

シリンジ下に異物を挟んでしまった時の対処方法

直ちにWPSオートサンプラーの電源をOffにして、物理的に異物を取り除く事を推奨いたします。
シリンジ駆動部を強制的に動かすには、弊社サービスによる作業が必要となりますので、お客様による異物の除去が困難な場合は、弊社コールセンターまでご連絡願います。

サンプルを吸えていない時の 対処方法

シリンジ内部にエアの混入がある場合は、以下のいずれかの動作によるエア抜きをご実施ください。

  • 「シリンジ吸引」
  • 「バッファーループ洗浄」
  • 「ニードル及び流路(送液系)の洗浄」

UV検出器

”UV Lamp breakdown””UV Lamp ignition failure、または UV lamp malfunction対処方法

UVランプ切れが考えられます、ランプ交換をお願いいたします。
(取扱説明書参照)

 

ランプのパーツ番号
6074.1110 D2-Lamp DAD, MWD and VWD (Ultimate3000)
6083.1110 D2 LAMP, VH-D1 (Vanquish DAD HL)
6083.1111 D2 LAMP, VF/C-D1X (Vanquish DAD FG)
6077.1110 D2 LAMP, STD, VF/C-D4 (Vanquish VWD 標準ランプ)
6077.1111 D2 LAMP, HISENS, VF/C-D4 (Vanquish VWD 高感度分析用ランプ)

”Vis Lamp missing or broken" 、"Code 3105 VIS lamp malfunction. Code 3106 VIS lamp malfunction."、"Code 7029 VIS lamp malfunction Code 7030 VIS lamp malfunction"の対処方法

Visランプ切れが考えられます、ランプ交換をお願いいたします。
6083.2000  VIS-Lamp DAD, MWD and VWD

"ADC internal test failure cycle power"対処方法

検出器の主電源の再起動で改善する場合がありますので、2回から3回ほど再起動を繰り返してください。
その他、UV検出器の電源プラグの抜き差し、または電源の取り口(コンセントの取り口)を変えることによって症状が改善できる可能性があります。

電源Off時に誤って移動相を送液してしまった時の対処方法

直ちにポンプの送液を停止いただき、Corona検出器へ接続している流路配管を取り外してください。そして、窒素ガスのみを24時間流して内部を乾燥してください。
その後、電源リセットを行い、エラーの有無を確認しながらご使用下さい。


Corona検出器

バックカレント値が高い時の対処方法

お客様のフレッシュな移動相を送液し、カラムを外してもバックカレント値が高い場合は、HPLCシステム流路が汚染されている可能性が高いですので、ご使用サンプルの可溶溶媒による洗浄が必要です。
ポンプ流量 2ml/minにて3時間以上送液して、HPCシステム流路を洗浄ください。洗浄する場合は、Corona検出器への流路配管は外してください。(洗浄溶媒がCorona検出器に送液させないため)
ポンプの送液を停止し窒素ガスのみでもバックカレント値が0.1pA以上になる場合は、Corona検出器内部が汚染されている可能性が高いですので、その場合は弊社コールサポートまでご連絡ください。

使用可能な溶媒について

LCグレード以上の溶媒をご使用下さい、THF等溶媒では安定化剤を含まないものを推奨します。MSと同様に揮発性緩衝液をご使用下さい。炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩硫酸塩などの不揮発性塩のご使用は、バックグランドの上昇の原因になるのでご使用は避けて下さい。

CADの検量線には直線を用いるのでしょうか

CADの検量線は原理的には両対プロット、経験的には二次関数を用います。
一般的に二次関数を用いますが、検量線作成には必ず4点校正以上で実施してください。
但し、狭い範囲で検量線を作成する場合は直線を描きます。

 

信号強度(電荷量)=a'×Cb(a'、bは係数)→ log10(信号強度)=b×log10C+log10a`

原理的には両対数プロット log10y = a log10x + b

経験的には二次関数 y = ax2 + bx + c

ドライングチューブの温度設定はどのように行うのが適切でしょうか

デフォルトの設定は35℃です。機種により設定できる温度は異なりますので、ご使用の装置の仕様をご確認ください。ドライングチューブ温度を50℃以上に設定することで、移動相(溶媒、添加試薬)、カラムブリードなどに含まれる、検出したくない余分な成分を効率的に除去するでき、バックグラウンド電流値を下げ、ベースラインを安定化します。
但し、熱に弱い化合物は温度を上げる事で、レスポンスが低下します。ドライングチューブ温度の設定を変えて測定し、S/N比が良い温度で分析してください。半揮発性化合物では25℃又はOFFの設定が望ましいです。(VeoRSまたはVanquish CAD H)

またベースラインを安定化させるには以下の点にもご注意ください。
溶媒、試薬はHPLCグレード以上(ある場合はLCMSグレードを推奨)を使用し、開封・調製後時間の経った移動相は使用しないようにします。新しいHPLCシステムや配管、及びフィルターを用いる場合や不揮発性緩衝液を使用したことのあるHPLCは、十分に水などで洗浄してから使用するか若しくは交換する必要があります。カラムからのブリードや不揮発性移動相を用いた履歴があるカラムではバックグラウンド電流値が高くなる傾向があるため、こういったカラムを避け、カラムは十分に洗浄してからご使用ください。

パワーファンクション値(PFV)とは何ですか?設定方法を教えて下さい。

パワーファンクション値とは、シグナルをn乗することで、放物線状の検量線を直線に近づけるための値です。CADは原理的にy = aXbという応答性を示しており、n乗し乗数を1に近づけることで直線に近似されます。実際には信号強度がある程度近しい値になるように、パワーファンクション値に係数をかけた値を用いてn乗し、係数をかけて信号強度を補正しています。最適なパワーファンクション値は化合物により異なるのでご注意ください。

パワーファンクションを設定しない場合

パワーファンクションを設定した場合

パワーファンクションの設定方法

Thermo Scientific™ Chromeleon™ では信号値をn乗したクロマトグラムチャンネルを疑似的に作成することができます。以下の手順で実施することで最適なパワーファンクション値を容易に探すことができます。

 

<手順>

1. パワーファンクションを初期値1.00で検量線データを取得

2. Chromeleonを用いて、n乗したチャンネルを作成
2-1. クロマトグラフィースタジオを開きます。

2-2.CAD_1チャンネルを右クリックし、[べき乗則]を選択します。

2-3. [パワーファクタ]を入力し、[すべて]を選択後、[OK]をクリックします。(パワーファクタにはシミュレーションしたいパワーファンクション値を入力してください)

2-4.n乗したクロマトグラム及びチャンネルが作成されます。(図では1.1乗したクロマトグラムが作成)

2-5.パワーファクタをかけたチャンネルを選択し、検量線が直線になるか確認します。
もし放物線状であれば、異なるパワーファクタをかけて試していきます。
(検量線が上に凸の場合はパワーファクタを増加、下に凸の場合は減少させると直線に近づきます)
再度パワーファクタをかけたチャンネルを作成する際は、CAD_1のチャンネルを選択して実施してください。
(誤ってパワーファクタをかけたチャンネルを選択すると、パワーファクタを2回かけたことになり複雑になります)

PFV:1.1
PFV:1.6

※Chromeleonではn乗するだけのクロマトグラム作成のため、一部の補正係数がかかっておりません(前記のa')。そのため、シミュレーションから予測されるピーク高さと実際にパワーファクションを設定して取得したデータのピーク高さは異なります。
最終的には装置メソッドでパワーファクションを設定してデータを取得してください。

CADで注入をくり返すことにより、試料由来でバックカレントが高くなってしまいました。効果的な洗浄方法を教えてください。

一般的に注入を繰り返す事により、バックカレントが高くなる主な要因は、カラムの汚染です。 まずカラムのアウト側を検出器に接続せずに、流速を下げずに洗浄する場合は強溶媒を1時間程度送液して洗浄を実施してください。
流速0.2mL/min 程度に下げて洗浄する場合は、同様に検出器に接続せず一晩送液し続けて洗浄を実施してください。
検出器に接続して、バックグラウンドに改善がみられ、よりバックカレントを下げたい場合は、再度上記の洗浄を実施してください。
カラム洗浄を実施しても電流値が高い場合や、カラムを外してもスパイクノイズが生じる場合は下記のCAD流路の洗浄を実施してください。使用する溶媒は表1を参照してください。

  1. LC 装置のみ洗浄を実施します。カラムを外し、流速2.0mL/min で3時間を目安に送液してください。
  2. Corona 検出器をLC 装置同様に(流速2.0mL/min で3時間)洗浄します。
  3. Corona 検出器は洗浄後、窒素ガスにより、15分以上乾燥して下さい。

表1 推奨される洗浄溶媒

アプリケーション 洗浄溶媒
逆相(低分子) イソプロピルアルコール(IPA)とHPLCグレードの水の混合液
(混合比率はサンプルの状況により、変更して下さい。)
逆相(高分子およびポリマー) 100% テトラヒドロフラン(THF)
(またはこのHPLC メソッドで使用した他の適切な有機溶媒。)
逆相(タンパク質) アルコール(IPA/メタノール)とHPLCグレードの水の混合液(50:50)
順相 テトラヒドロフランとメタノールの混合液(50:50)

CADのバックグラウンド電流を下げるには

バックグラウンド電流とは、CAD(Ultra/UltraRS/Veo/VeoRS)の本体画面に表示されるCurrent値(pA)を差します。VanquishCAD F/HではThermo Scientific™ Dionex™ Chromeleon™ クロマトグラフィーデータシステム(CDS)のeパネルにバックグラウンド電流として表示され、装置メソッド内ではBackGround_Currentとして記録が残せます。
但し、CAD内のCAD信号値はオートゼロ補正された値となりますので、分析の状況確認にはCurrent値若しくはバックグラウンド電流をご確認ください。
バックグラウンド電流は装置や移動相、カラムの状況により変化し、CADの感度や再現性といった分析結果にも大きく影響を及ぼします。十分に安定化した分析開始時のバックグラウンド電流値を記録することで、異常検知や再現性の良い結果を得ることが出来ますので、お勧め致します。
CADで分析可能なバックグラウンド電流値の目安は20pA以下です。高感度分析の場合は1pA以下のバックグラウンド電流値を目指してください。

 

原因の検証フロー

バックグラウンド電流値が高くなる主な原因として以下の3点が考えられます。

  1. カラム
  2. 移動相
  3. システム

どこに原因があるか以下のフローに従って確認してください。

原因の検証フロー
1.カラムが原因の場合

1.カラムが原因の場合の主な要因
カラムを取り外して移動相を流した際に、バックグラウンド電流が通常の値まで下がるのであればカラムが汚れている可能性があります。カラムの場合には、以下のような原因が考えられます。

 

a. 新品のカラムを使用している場合
b. サンプルが原因でカラムが汚れてしまった場合
c. カラムからのブリードでバックグラウンド電流値が高くなる場合
d. 不揮発性移動相を送液した履歴のあるカラム

 

a. 新品のカラムを使用している場合
新品のカラムはきれいと思われがちですが、実際には長期間保管しているが出荷時封入溶媒がカラム内に留まっており、決してきれいな状態ではありません。新品のカラムを使用すると、概してバックグラウンド電流値が高くなる傾向にあります。カラムの取扱い説明書に従ってカラムを洗浄し(カラムによっては数日程度洗浄が必要なものもあります)、バックグラウンド電流値が20 pA以下に下がってからご使用ください。グラジエント分析でご使用の場合は初期条件と最終条件で十分に洗浄を行って頂くか実際のグラジエントプログラムを用いて洗浄を実施いただくとバックグラウンド電流値が早く下がり、高感度に測定可能にあります。同様に一度送液を停止し保管していたカラムを使用する場合もある程度洗浄してからお使いください。

 

b. サンプルが原因でカラムが汚れてしまった場合
分析開始時は十分にバックグラウンド電流値が下がっていたにも関わらず、ある程度分析していると徐々にバックグラウンド電流値が高くなることがあります。これはサンプルがカラムに残り、カラムが徐々に汚れてしまっていることが原因です。溶出力の高い溶媒で洗浄し、十分にバックグラウンド電流値が下がってからお使いください。

 

c. カラムからのブリードでバックグラウンド電流値が高くなる場合
カラムの種類によっては、カラムからのブリードでバックグラウンド電流値が高くなるものがあります。逆相系のカラムではあまり問題になりませんが、HILICカラムやイオン交換カラム、GPCカラムなどではカラムの種類によってはブリードの影響が大きく、高感度に測定ができません。①の新品カラムの洗浄方法をお試し頂き、一晩洗浄を行っても20pA以下に下がらない場合はそのカラムのご使用を控えてください。
弊社カラムでは、Thermo Scientific P1カラム(逆相と弱アニオン、強カチオンのミックスモードカラム)やThermo Scientific Acclaim™ Trinity™ P2カラム(HILICと弱カチオン、強アニオンのミックスモードカラム)は低ブリードでCADでも使用可能です。

 

d. 不揮発性移動相を送液した履歴のあるカラム
CADは使用できる移動相は揮発性溶媒のみです。不揮発性移動相を送液した履歴のあるカラムのご使用を控えてください。
やむを得ずご使用になる場合はCADへ配管を接続せずに、aの新品カラムの洗浄方法をお試し頂き、バックグラウンド電流値が20pA以下になりましたら、ご使用ください。

 

2.移動相やボトルが原因の場合

2.移動相やボトルが原因の場合
移動相やボトルが原因でバックグラウンド電流値が高くなることがあります。主な原因は以下の4点です。

 

a. 移動相が古い場合
b. 溶媒ボトルが汚れている場合
c. 試薬のグレードや純度が低い場合
d. 溶媒ラインやサクションフィルターが汚れている場合

 

a. 移動相が古い場合
移動相を調製してから数日放置しておくと、徐々にバックグラウンド電流値が高くなっていきます。水に関しては、数日放置しておくと微生物が繁殖するなど、UV検出器でも取り上げられている問題です。またそれ以外の溶媒に関しても水ほど顕著ではないものの徐々に電流値が高くなることがあります。CAD検出器は高感度なため、他の検出器と比較して、これらの影響が顕著に出てしまいます。まずは新しい溶媒に交換し、電流値が下がるか確認してください。
また、THFも空気中の酸素の影響で酸化しますので、常に新しい溶媒をご使用ください。

 

b. 溶媒ボトルが汚れている場合
溶媒ボトルが汚れていても電流値は高くなってしまいます。別の溶媒ボトルに変えてみて下がるか確認してください。不揮発性の塩を使用する溶媒ボトルや洗剤で洗浄して使用しているボトルと、CAD用の溶媒ボトルとを分けて使うことを推奨いたします。

 

c. 試薬のグレードや純度が低い場合
図2のフローからは気が付きませんが、それ以外に試薬のグレードや純度が低い場合にもバックグラウンド電流値が高くなります。試薬メーカーによっても変わってきますので、グレードや純度は高いものを、またメーカーも必要に応じて検討してご使用ください。また、溶媒はLCグレードもしくはLC/MSグレードをご使用ください。また移動相の中でもTHFはメーカーによってもバックグラウンド電流値が大きく変わりますので、バックグラウンド電流値の低いメーカーのものをご使用ください。

 

d. 溶媒ラインやサクションフィルターが汚れている場合
溶媒ラインの溶媒に浸かる部分を素手で触ると汚れが溶媒に広がり、バックグラウンド電流値が上がってしまうことがあります。溶媒ラインの下部はできる限り触らないようにして溶媒ボトルに入れてください。以前不揮発性バッファーを使用した履歴のある場合は、十分に洗浄してからご使用ください。
特にサクションフィルターは、不揮発性バッファーを使用した履歴のある場合は、新品のものに交換してください。

CADの感度を改善するには

CADで感度を上げるにはいくつか方法があります。

  1. 注入量を増やす
  2. ドライングチューブ温度を検討する(Thermo Scientific™ Dionex™ Corona™ Veo™、Thermo Scientific Vanquish™ CADの場合)
  3. ポストカラムで有機溶媒を添加する
  4. 移動相にイオンペア剤を添加する
  5. ネブライザー温度を下げる  (Thermo Scientific Dionex Corona ultra、Thermo Scientific Dionex Corona ultra RSTMの場合)
  6. ノイズ(バックグラウンド電流)を下げる

6に関しては、別のFAQ「バックグラウンド電流を下げるには」で説明しております。本FAQでは1) ~5) についてご説明します。

 

1. 注入量を増やす
CADは濃度依存的な応答性ではなく、重量依存的な応答性を示します。そのため、オンカラムの絶対量が重要になってきます。内径の細いカラムを使用したとしても、UVのように感度が上がるわけではありません。CADで感度を上げるためには、注入量を増加させ、オンカラムの絶対量を増加させる必要があります。まずは注入量を増やしてみてください。
注入量を増やすとピーク形状が崩れる場合があります。このような問題が発生するのは、カラムにトラップできる成分の量が限られており、それ以上に注入してしまったことが原因です。太いカラムを用いると充填剤の量が増えますのでカラムに保持できる量が増加します。これにより注入量を増やすことが可能となります。CADの高感度分析では、内径の太いカラムを用い、注入量を増やして分析することがポイントとなります(図1)。例えば内径2.1 mmのカラムを使用している場合は、内径4.6 mmのカラムなど内径の太いカラムを使用することで、注入量を増加させ、感度を改善できます。

図1. CADでのカラムと注入量、感度の関係

2. ドライングチューブ温度を検討する
Corona Veo、Corona Veo RS、Vanquish CADでは、ドライングチューブ温度を設定できます。ドライングチューブは、ネブライザーで噴霧して形成された液滴を蒸発させ、微粒子を形成するところです (図2) 。このドライングチューブの温度を最適化することで感度を改善することが可能です。

図2. CADの構造

ドライングチューブ温度を上げると、目的成分の気化が促進され、ピークが小さくなってしまいます。一方でノイズのもととなる溶媒も気化されるため、ノイズも小さくなります。このピーク強度とノイズの変化の割合が異なるため、S/N比で考えると、温度を上げた方が改善される場合、温度を下げた方が改善される場合など、S/N比が最大となる最適なドライングチューブ温度がある場合があります (図3) 。

 

図3. Naイオンのドライングチューブ温度の影響

 

3. ポストカラムで有機溶媒を添加する
CADでは、移動相の組成により噴霧効率が変わり、ピークの応答性が変わります。一般に水/有機溶媒系で分析した場合、有機溶媒の比率が高いほどピーク強度は強くなります 。例えば霧吹きをイメージしてください。水100%ではあまり霧は飛びませんが、エタノールを混ぜると霧がよく飛散するようになると思います。同じ原理で、有機溶媒を混ぜた方が、液滴が小さくなり検出器に到達しやすくなり、感度が向上します。
ポンプが2台ある場合、1台を分析用に、もう1台をポストカラムで有機溶媒添加用として使用します。カラム溶出後に有機溶媒を添加することで、分離はそのままに、検出器到達時の有機溶媒比率を高めることが可能です (図4)。

 

図4:ポストカラム添加のシステム配管図

4. イオンペア剤を添加する
分析条件にもよりますが、イオン性化合物の場合イオンペア剤を添加することでレスポンスが高くなることがあります。CADが重量依存的な応答性を示すため、イオンペア剤存在下では、目的成分であるイオン性化合物がイオンペア剤と対になった状態で存在しているため、重量が大きくなり、結果としてレスポンスが向上されるものと考えられます。
イオンペア剤に関しては、LC/MSグレードのような揮発性のイオンペア剤しか使用できないので注意が必要です。また、イオンペア剤の種類によっては、ノイズが大きくなり、逆に感度が下がってしまう場合もありますので、メーカーやグレードを選択の上使用ください。

 

5. ネブライザー温度を下げる
Corona ultra、Corona ultra RSではネブライザー温度を設定できます。ネブライザー温度を下げることで、若干ですが感度が向上します。ネブライザー温度を室温に近い25 ℃~30 ℃程度に設定して使用ください。

荷電化粒子検出器(CAD)で高塩濃度サンプルを注入する際の注意点

CADでは、サンプル中に不揮発性塩が含まれていても分析できます。ただし、塩も検出されるため、逆相条件ではフロントに大きなピークが溶出されてしまいます。
また大量の不揮発性塩を含むサンプルを繰り返し注入する場合は、スパイクノイズが発生する事がありますので、下記の洗浄を実施ください。

 

洗浄方法:分析が終了後、カラムを取り外し、流速2mL/minで水100%をCAD検出器に送液し、30分以上洗浄してください。

 

またHPLCやCAD検出器にバルブがついている場合は、バルブを用いて塩溶出時間を排液し、CADへ導入しない事でスパイクノイズの発生を防止出来ます。

CADを安定的に使用する上で必要なメンテナンスは何ですか?

日常的なメンテナンスとして分析停止後の装置の洗浄を行い、送液停止後に窒素ガスにより15分以上乾燥させてください。特に酸性移動相をご使用の場合は、中性溶媒へ置換して頂いた後に、窒素ガスによる乾燥を行ってください。

 

CADはバックグラウンドの上昇により安定的に測定する事が難しくなります。
バックグラウンドは試薬(メーカーやLot)・移動相・カラム・配管など様々な要因により上昇致します。                       
分析終了と起動時のカラムの洗浄の実施、移動相は開封したての試薬を用い、用事調整頂く事でバックグラウンドの上昇を防止できます。
また使用するHPLC装置、移動相の溶媒ボトルは専用として頂くと安定した測定を行えます。やむを得ず不揮発性移動相を併用して使用する場合はサクションフィルターやインラインフィルターは共用せずに十分に流路を洗浄してからCADの分析にご使用ください。
異常が確認された際は原因と思われる部分を外す又は交換してバックグラウンドを確認する事で原因箇所を特定することが出来ます。

塩形成をしている化合物を分析する場合に脱塩は必要ですか?

カウンターイオンの形成ならば、脱塩しなくても良いです。
~塩という化合物は、溶液中で塩と主成分と別れ分離し、移動相中にイオンペアが添加されているときは、イオンペア剤と対イオンを形成して検出されます。下記にナプロキセンナトリウムの分析事例を示します。

図1.ナプロキセンナトリウムのイオン交換カラムによる分析事例

CADは順相分析やGPCに対応していますか?

CADは一般的な順相溶媒は対応可能です。(ヘキサン・クロロホルム・THFなど)
ただし溶媒はHPLCグレード以上若しくは純度の高い溶媒をご使用ください。
またTHFは安定化剤不含を推奨いたします。
ご使用にあたっては接続されているLCが順相溶媒に対応しているかご確認下さい。

CADで分析できる分子量の上限はありますでしょうか

移動相への溶解度及びカラムへの吸着に注意する必要がありますが、検出器としては分子量に上限はありません。

逆グラジエントをしないと重量応答性がかわってしまうのは何故でしょうか?

CADの検出原理の中でも特に噴霧のプロセスが移動相の溶媒組成に影響受け、グラジエント分析では応答性が変わります。水100%と有機溶媒100%で比較すると、噴霧で形成される液滴は水100%では表面張力が大きく、大きな液滴が形成されます。
このように移動相組成の表面張力、粘性などに依存し液滴のサイズが異なります。また生成される液滴の数も溶媒組成により変化します。
これらの理由から検出器内部への取り込み率が変化し、応答性が変化します。これを補正する手法が逆グラジエント法です。


Easy-nLC

A/B ポンプのパージを10回以上実施しましたが、Flush Air が通りません。何処を確認すれば良いですか。

まず下記の項目をご確認下さい。

  • ボトルの溶媒残量をご確認下さい。
  • 溶媒は2週間以内に交換済みかご確認下さい。
  • 溶媒をセットされる前に15分ほど超音波で脱気はご実施済ですか。
  • 媒ボトルからの半透明のライン内に空気相は入っていませんか。
  • 装置フロントパネルを手で開け、向かって一番右側の廃液カップの半透明のライン先端をご確認下さい。
  • パージを実施し、ラインの先端から液滴が落ちるかご確認下さい。

 

液滴が落ちる場合…

ポンプシール 、ポンプ- 圧力センサーバルブ 間の配管、バルブ のいずれかに漏れの可能性がありパーツ交換が必要と思われます。フリーダイアル又はsupport.jp までご連絡下さい。

 

液滴が落ちない場合…

チェックバルブがきちんと閉まっていない可能性がありパーツ交換が必要と思われます。フリーダイアル又はsupport.jp までご連絡下さい。

Sポンプのパージを5回以上実施しましたが、Flush Air が通りません。何処を確認すれば良いですか。

Wash bottle 3番の溶媒残量をご確認下さい。
また、溶媒は2週間以内に交換頂いたものか、ご確認下さい。

 

半分以下の場合…

A溶媒を継ぎ足して下さい。パージ20回実施後、再度Flush Air をご実施下さい。それでもFlush Air がFail する場合は、ポンプシール 、ポンプ- Pressure Sensor - Valve 間の配管、Valve のいずれかにリークの可能性がありパーツ交換が必要と思われます。フリーダイアル又はsupport.jp までご連絡下さい。

 

半分以上の場合…

念の為、更にパージを10回実施してください。それでもFlush Air がFail する場合は、S ポンプシール、ポンプ-Pressure Sensor - Valve 間の配管、Valve いずれかにリークの可能性がありパーツ交換が必要と思われます。フリーダイアル又はsupport.jp までご連絡下さい。

測定終了後の Idle Flow 設定を変更したいのですが、設定箇所はどこにありますか。

Maintenace > Devices > Properties のIdle Flow Rate と Idle Mixture にて設定可能です。