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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / フラグメント解析、それはキャピラリー電気泳動でできるもう一つのこと

フラグメント解析、それはキャピラリー電気泳動でできるもう一つのこと

Written by LatB Staff | Published: 10.18.2022

サンガーシーケンスとキャピラリー電気泳動について、6回に分けて基礎的な内容をメインに紹介しています。2回目である本記事では、塩基配列を読まないアプリケーションであるフラグメント解析とは何か、です。併せて、さまざまなフラグメント解析がキャピラリー電気泳動で実施可能であることもご紹介します。

▼こんな方におすすめです!
・1回目の記事を読んで、キャピラリーシーケンサの分解能に興味を持った方
・アガロースゲルのバンド分解能に限界を感じている方
・いつでもキャピラリーシーケンサに触っていたい方

▼もくじ

  • フラグメント解析とは=DNAの長さを測定
  • フラグメント解析のさまざまなアプリケーション
  • フラグメント解析のためのソフトウエア
  • まとめ
  • フラグメント解析ユーザーガイド(日本語版)

フラグメント解析とは=DNAの長さを測定

1回目の記事では、ジデオキシ法によりDNA鎖の伸長を停止させ、キャピラリー電気泳動(CE)で電気泳動することで、DNAの1塩基ごとの変化を分離・区別する方法を説明しました。
今回は、塩基配列情報を解析するためにフラグメント長の差異を利用するのではなく、さまざまなサイズのDNAフラグメント長をキャピラリー電気泳動(CE)を使用して測定する、異なるタイプのDNA解析について説明します。

キャピラリー電気泳動

大学の生物学の講義で、アガロースゲル電気泳動によりDNA分子を長さにより分離、エチジウムブロマイドでゲルを染色し、UVトランスイルミネーター上で写真を撮影する方法を教わった方もいらっしゃるかと思います(最近では高校の授業でも扱われるようになってきました)。分離されたDNA断片の相対的なサイズは、既知のサイズスタンダードである「ラダー」との比較により決定されます。この分離からサイズの決定までの全プロセスが完全に自動化されるならば・・・
キャピラリー電気泳動装置を使用すると、適切な色素で標識されたDNA断片のサイズをサイズスタンダードと比較することで迅速に決定できます。ヌクレオチドを酵素が取り込むプライマーベースの方法では蛍光色素で標識されたプライマーまたはヌクレオチドが使用され、得られた生成物はキャピラリー電気泳動で分離しサイズを測定することができます。

フラグメント解析のさまざまなアプリケーション

フラグメント解析のアプリケーションは、かつて放射線とX線フィルムを使用していた伝統的なアプリケーションに由来しています。たとえば、マイクロサテライトマーカーが連鎖分析に使用される前は、制限酵素断片長多型RFLP: Restriction Fragment Length Polymorphismと呼ばれる方法が1980年より存在していました。今では、キャピラリー電気泳動により、RFLP解析は簡単に実施できるようになりました。

マイクロサテライト解析も多くの方に利用されている主要なアプリケーションです。マイクロサテライト(ショートタンデムリピート配列、STR: Short Tandem Repeatとも呼ばれます)とは2〜7ヌクレオチドの繰り返し単位ですが、各対立遺伝子で繰り返しの数が異なる場合があります。マイクロサテライト解析は、集団遺伝学に加えて、連鎖マッピング、親子関係分析、および農業・育種分野などに幅広く利用されています。

キャピラリー電気泳動

ジェノタイピングも主要なアプリケーションです。Applied Biosystems™ SNaPshotTM Multiplex Kitは、ジデオキシヌクレオチドでの一塩基の伸長を利用して、最大10個の変異を同時に決定します。

また、増幅フラグメント長多型(AFLP:Amplification Fragment Length Polymorphisms)、BACフィンガープリント、タイリング(アグリバイオで利用)、さらには一本鎖高次構造多型(SSCP:Single-Strand Conformational Polymorphism)といった他のアプリケーションもあります。これらはすべて、制限酵素認識部位の塩基配列の変化の有無、またはPCR用に設計されたプライマー部位間の配列変異に基づいてヌクレオチド変異の有無を調べます。これらの方法では、調べたい個々のサンプルの塩基配列を事前に知らなくても、遺伝的変異の有無を調べることができます。

ヘテロ接合性消失(LOH:loss of heterozygosity)、異数性、または大きな染色体欠失などの欠失変異を調べるために、複数サンプルの蛍光ピークの高さを測定して欠失イベントを検出するQF-PCR法(Quantitative Fluoresence)も開発されました(半数体の性質により、LOHの領域は通常の2倍体領域と比較して半分の相対蛍光強度を持ちます。)

蛍光標識されたプライマーまたはヌクレオチドを用いることにより、アガロースゲルを用いたDNAフラグメントのサイズ分析は、キャピラリー電気泳動に適用可能となりました。キャピラリー電気泳動の分解能により、1つの蛍光色素で複数のマーカーを一度に検出できます。なお、他の蛍光色素を併用することで複数のサンプルでも同時に検出可能となります。

フラグメント解析のためのソフトウエア

Applied Biosystems™ GeneMapper™ソフトウエアは、キャピラリー電気泳動装置のData Collectionソフトウエアによって出力された.fsaファイルを読み込み、自動でピークを検出し、サイズスタンダードの情報から検出されたピークのフラグメントサイズ情報を付与します。アッセイに応じて、ソフトウエアはジェノタイプを判定し、その正確性を表す値を付与したり、定量的な蛍光測定のために相対的なピークの高さを決定したりすることもできます。

キャピラリー電気泳動

さらに、FDAの規則である21 CFR Part 11の要件を満たす補助となるセキュリティ機能と監査機能、およびカスタマイズ可能なレポート作成機能を持っています。

まとめ

・フラグメント解析とは、DNA断片の長さを測定する解析です。
・蛍光標識されたプライマーやヌクレオチドとキャピラリー電気泳動を組み合わせることで、高い解像度を持つ電気泳動が自動で実施可能になりました。
・フラグメント解析のさまざまなアプリケーションがキャピラリー電気泳動により可能となってきました。
・フラグメント解析用のソフトウエアにより、フラグメントサイズの決定やジェノタイピングが容易になりました。

関連情報
1 関連製品Webページ : フラグメント解析ワークフロー
2 カタログ :  キャピラリー電気泳動によるフラグメント解析

フラグメント解析ユーザーガイド(日本語版)

フラグメント解析の基礎から、実験のセットアップのコツやトラブルシューティングまで様々なコンテンツをカバーしているユーザガイドです。

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研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

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