セロハンシートに挟まれた乾燥ゲルは、永久保存、フルオログラフィー、オートラジオグラフィー、写真撮影などの用途に理想的です。しかし、この作業中にゲルにひび割れが入り、お困りのことがあると思います。今回は、ゲルを乾燥させる時に考慮すべきポイントをご紹介します。
ゲルを注意深く扱う
ゲルは手を触れずにカセットからはずし、脱染色のステップを止めるために水で3回軽くリンスします。この後、ロータリーシェイカーで10分間振盪し、Gel-Dry Drying Solutionのようなゲル乾燥用溶液と平衡化します。多くのゲル乾燥用溶液には、ゲルを少し縮小させるアルコール成分と、乾燥の度合いを調節し乾燥させ過ぎないようにするグリセロール成分が含まれています。Gel-Dry Drying Solutionには、乾燥度合いを調節しひび割れの発生を抑えるグリセロールではないある成分が含まれています。
この溶液がない場合は、20%メタノール、2%グリセロール溶液をおためしください。どちらの溶液もオートラジオグラフィーやオートラジオグラフィー用シグナル増強溶液にも用いることができます。
注意:アルコールを含んだゲル乾燥用溶液には、ゲルを10分間以上浸さないでください。長く浸すと、アルコールがバンドの脱色に作用することがあります。
泡を取り除く
セロハンとゲルとの間に挟まった泡はひび割れの原因になります。ゲルの上でピペットチップを回しながら泡をゲルの端の方へ押し退けてください。また乾燥用溶液を使用することで泡を除きやすくなります。
ゲルを熱源にさらさないようにする
室温で乾燥させるDryEase Mini-Gel Drying Systemのようなシステムでは、ゆっくりと均等な速度でゲルを乾燥させ、48時間で完全に乾燥させることができます。ドラフトやまたは熱源に近いところにゲルを置くと、ひび割れを生じる可能性が増大します。ゲルにひび割れを生じさせないためにゆっくり乾燥させることをお勧めします。
乾燥ゲルの白い結晶
ゲルの乾燥後に、ゲルのまわりに白い半透明の境界線やゲルの表面に白い結晶が生じていることがあります。これらは湿らしたキムワイプで拭き取ったり、水やゲル乾燥用溶液に浸すことで簡単に取り除くことができます。
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