凍結保存した細胞を融解させて培養した時に生細胞率(cell viability)が思ったよりも低いことがあります。これは凍結細胞の融解方法に起因する場合もありますが、多くは培養細胞の凍結保存プロトコール、特に冷却レートの速度が原因です。
そこで今回は、凍結処理容器Thermo Scientific™ Nalgene™ Mr. Frosty(ミスター フロスティー)をご紹介いたします。
▼こんな方におすすめです!
・細胞培養ユーザー全般(細胞の凍結保存)
・細菌、真菌、酵母、マイコプラズマのコンタミネーションの回避
・異なる細胞のコンタミネーション(クロスコンタミネーション)の回避
理想的な冷却レートとは?
細胞を凍結保存するときに、冷却レートが速すぎると細胞内に氷の結晶が生成されて細胞膜や細胞内小器官を損傷させ、細胞死を招くことがあります。逆に冷却レートが遅すぎると細胞の過度の脱水を招き結果的に細胞死に至ることになります。
そのため、適正な冷却レートによる細胞凍結を行なうことによって細胞内の氷晶の大きさを小さくし、結果的に細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能になります。その冷却レートは室温から冷却を開始する場合、多くの細胞において「-1℃/分」と言われています(緩慢冷却)。

-80℃フリーザー内におけるサンプルの冷却レート
理想的な冷却レートを得るためには?
「-1℃/分」の冷却レートをコントロールするためにはプログラムフリーザーの使用が一番確実なのかもしれません。しかしながら、一般的にプログラムフリーザーの価格は数百万円しますのでルーチンワークで大量のサンプルを凍結保存する施設でないと採算性が取れません。
発泡スチロール容器などを-60~-80℃のディープフリーザーに入れて代用することも可能ですが、低温になるにしたがって冷却レートは速くなる傾向があります。また、冷却レートの再現性も一定ではありません。
そこで-1℃/分に近い冷却レートを維持できるようにデザインされたNalgene Mr. Frosty(ミスター フロスティー)の使用をお薦めいたします。
Nalgene Mr. Frosty(ミスター フロスティー)の特長
Nalgene Mr. Frosty(ミスター フロスティー)には以下の特長があります。
・動物細胞の凍結に有効な「-1℃/分」に近い冷却レートを再現性よく実現
・100%イソプロピルアルコールとディープフリーザー(-60~-80℃)のみで凍結細胞のダメージを最小限に抑える緩慢凍結法が可能
・繰り返しの使用が可能(使用する100%イソプロピルアルコールは5回毎に交換が必要)
・サイズは、適合チューブ 1.0-2.0mL(P/N 5100-0001)、適合チューブ 3.6-4.0mL(P/N 5100-0036)、適合チューブ 4.5-5.0mL(P/N 5100-0050)の3種類
まとめ
Nalgene Mr. Frostyを使用することで、理想的な冷却レートに近いレートで細胞を凍結することができます。解凍した細胞の生存率が低く気になっている方がいらっしゃいましたら是非活用してみてください!
凍結保存に関して詳細の情報をお知りになりたい方は、下記URLから凍結保存用製品カタログ2019-2020をご覧ください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。



