- 亜硝酸塩および亜硝酸イオン測定の重要性
現在、医薬品業界ではニトロソアミン類の前駆体である亜硝酸塩の測定メソッドに対してニーズが高まっています。
本記事では、NDMAの規制の理由、そして医薬品製造時のNDMA生成のリスクについて説明をしたのち、具体的な亜硝酸塩の測定メソッドについての資料をご紹介いたします。 - NDMAの規制とは
そもそも、なぜニトロソアミン類の生成を抑える必要があるのでしょうか。
ニトロソアミン類の代表格であるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)は、化学式は(CH3) 2NNOで表される有機化合物です。 NDMAは、一部の発酵食品に含まれますが、強い発がん性を持つことが知られており、2018年7月以降、ロサルタン、ラニチジン、メトホルミンなどの数種類の医薬品からNDMAが検出されたことから、米国食品医薬品局(FDA)によってリコールされています。このため、 FDAはヒト用医薬品におけるNDMAを管理するための業界向けガイダンスを提供しています。 - 亜硝酸塩とNDMAの関係
製造工程における亜硝酸塩の使用は、第二級アミンまたは第三級アミンが存在する場合、 NDMA生成のリスクが生じると考えられます(下図参照)。
したがって、原薬および製剤中の亜硝酸塩およびアミンの量を制限することがNDMAの生成を抑えるうえで非常に重要です。
- 亜硝酸イオンの測定方法
亜硝酸イオンの測定方法として湿式化学分析がありますが、代表的なメソッドはイオンクロマトグラフィー(IC)です。 ICでは、イオン交換カラムによる分離と、電気伝導度検出、電気化学検出、UV検出、または質量分析で検出を行います。医薬品業界では、ICは非イオン成分を含有する製剤中のイオン成分の検出に特に有用です。 ICを用いるメソッドは米国薬局方(USP)の医薬品各条(モノグラフ)に示されており、有効成分、分解生成物、不純物の測定など、医薬品製造のあらゆる場面で使用されています。多くの医薬品サンプルでは、サンプルの前処理はほとんど必要なく、分析対象成分の誘導体化も不要です。
亜硝酸イオンは、陰イオン交換クロマトグラフィーで分離し、 210 nmでのUVで検出可能です。当社が提供する高イオン交換容量のThermo Scientific™ Dionex™ IonPac™ AS19-4µm IC カラムを使用する場合、多くの医薬品サンプルの性質上、サプレッサー式電気伝導度検出ではなく 210 nmでのUV検出を使用します。
カラムの交換容量が大きいため、塩化物イオンなどのマトリックスを大量に含んでいるサンプルでも、亜硝酸イオンを高感度かつ選択的に分離できます。またUV検出により、大量の塩化物イオンに干渉されることなく、高感度かつ選択性の高い亜硝酸イオンの検出が可能です。このメソッドでは、Reagent-Free™ イオンクロマトグラフィー(RFIC™)システムと電解生成したKOH溶離液を使用します。このシステムでは、脱イオン水のみで溶離液を生成できます。このメソッドはバリデーション済みであり、メトホルミン、ロサルタン、ラニチジン、ジフェンヒドラミンなどの7種類の医薬品サンプルに適用できます。 - Thermo Scientific™ Dionex™ ICS-6000 HPICシステムによる分析
Thermo Scientific™ Dionex™ ICS-6000 HPICシステムによる亜硝酸イオンの分析方法や、システムの具体的な仕様、分析結果については下のリンクよりダウンロードいただけます。
亜硝酸測定の方法や導入するシステムについてお悩みの方はぜひダウンロードしてご覧ください。
医薬品におけるアミン類の分析に関してもご紹介しております。
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