前回に引き続き、リアルタイムPCR装置についてご紹介します。測定精度を保つために、リアルタイムPCR装置にはどんな秘密が隠されているのでしょうか?その前に、まず、正確な定量性を得るのが難しいわけをテクニカルサポート担当者に聞きました。
リアルタイムPCRでは、測定のためにさまざまな蛍光色素を活用していますが、図1のように、いずれも500〜700nmという狭い波長領域に集まっています。そのため、蛍光色素のクロストークの影響は避けがたく、フィルターの設定だけで物理的に分離することは難しいのです。例えば、VIC® Dye のシグナルと思っているものは、実はFAM™ Dye とTAMRA™ Dye を相当量含んだ値ということになります。
なお、以前はVIC® DyeではなくJOE™ Dye という蛍光色素を使っていましたが、マルチプレックス反応やSNPタイピングといった多色検出アプリケーションを開発するために、よりシグナル強度が強くスペクトル分解能が改善したVIC® Dyeを導入しました。それによって、精度の高いマルチプレックスリアルタイムPCRや正確なSNPジェノタイピングができるようになったというわけですね。
さて、測定する蛍光色素の蛍光スペクトルが近い上、物理的にも分離できないとなると、どうしたらよいのでしょうか?そこで登場したのが、蛍光シグナルの構成要素を分離する解析アルゴリズムです。次回詳しくお伝えします!
リアルタイムPCRハンドブック 無料ダウンロード
このハンドブックでは、リアルタイムPCRの理論や実験デザインの設計など、リアルタイムPCRの基礎知識が掲載されています。リアルタイムPCRを始めたばかりの方やこれから実験を考えている方にうってつけのハンドブックです。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。
リアルタイムPCRトラブルシューティング 無料ダウンロード
異常なS字状の増幅曲線、NTCでの増幅検出、増幅が見られないなど、リアルタイムPCRの実験中に困った際の手助けになる情報を紹介しています。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。