増幅曲線でかくにん!リアルタイムPCR装置の測定精度|今こそ本気で徹底理解! リアルタイムPCR講座 第26回

前回まで、高精度な測定結果を出す弊社のリアルタイムPCR装置の秘密をお伝えしてきましたが、今回はその実際のデータを見て行きます!

まずは下記の図を見てください。弊社ラボにある7500システムを用いて(SYBR® Green I、25 μlの反応系)96wellの均一性を検証した結果です。

qpcr-basic26-fig

図 96ウェルの均一性をSYBR Green Iで確認

一見1本の増幅曲線に見えますが、実はなんと96本の曲線です。Ctの最大値と最小値の間は0.32サイクルしかありません。いかにウェル間のばらつきが小さいかが、この図から分かりますね!

Ctの最大値と最小値の差、つまり曲線群の幅は、正確な測定をするために気をつけたい値です。例えば、ある測定装置でこの差が0.88サイクルだったとします。増幅効率が100%とすると、0.88サイクルの差は20.88=1.84倍の差になります。つまり、同一コピー数の定量結果が、1.8倍の誤差を含んでいるということになるのです。


なるほど!機器カタログ等で増幅曲線を見ることで、性能の参考にすることができますね。
ただし反復を設定していない増幅曲線は、ウェル間のばらつきを判断できないので注意が必要です。また、希釈系列の増幅曲線が掲載されている場合は、希釈率とCtの間が正しい関係にあるかどうか確認してください。例えば10倍希釈であれば、各増幅曲線の間隔は均一であり、理論的にはその間隔は約3.3サイクルになるはずです。


リアルタイムPCR装置の性能を見るには、増幅曲線が参考になるということですね。さて、次回も引き続き、実際のデータからリアルタイムPCR装置の性能を探っていきます!

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