これまで、遺伝子発現定量におけるリアルタイムPCRシステムについて見てきましたが、実はリアルタイムPCRシステムは、SNP(ゲノム上の一塩基多型)のタイピングにも威力を発揮するのです。どのようにして?? テクニカルサポート(TS)中の人、白神に教えてもらいましょう。
ゲノムDNAとタイピング用のTaqMan® プローブ&プライマーセット(図1)と試薬さえ揃えれば、リアルタイムPCRシステムを利用して短時間でしかも簡単にSNPタイピングが行なえますよ。
何だか簡単そうですね。検出原理はどのようになっているのでしょうか?
図2を見てください。TaqMan®プローブの5´端にはレポーターの蛍光色素(Reporter;R)が、3´端にはレポーター色素が発する蛍光を吸収する消光物質(Quencher;Q)が結合しています。この状態ではレポーター色素からの蛍光は検出されません。PCR反応が進行するに従い、プローブが分解することで消光物質から遊離したレポーター色素の蛍光が検出されるようになります。レポーターからの蛍光は、ターゲット遺伝子の量に比例するので、遺伝子発現では、蛍光の増加で遺伝子の定量が行なえるというわけです。またこの反応は非常に特異性が高いので、プローブ中の1塩基が異なれば反応は進行しません。この性質を利用することでSNP解析が行なえますよ。
次回は、SNPタイピングの重要性を詳しく聞きますよ。お楽しみに!
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