近年バイオ医薬品市場におけるシングルユース技術は大幅な進歩を遂げており、生産能力の向上、汚染リスクの低減、洗浄の必要性の排除など、シングルユース製品のメリットは結果として医薬品製造工程の短縮と生産性向上につながることは広く知られるようになりました。
ただ、製造プロセス内で多く使われるケーブルタイに関しては接続部の液漏れや不具合のリスクが発生していることも事実です。また、ケーブルタイは納品時にはチューブを傷つけないよう頑丈に梱包されているため開封する際に相当な手間と労力が必要になり、多くのお客さまが悩まれるポイントです。
そこで今回はチューブ接続における接続不良、液漏れ、汚染リスク、開封時の面倒な手間や納品時の緩衝材廃棄物処理などでお悩みの方に向けてケーブルタイに代わる新しいソリューションを提案させていただきます。
▼こんな方におすすめです!
・ケーブルタイを使用中で接続不良、液漏れ、汚染リスクにお悩みの方
・ケーブルタイの取り付けのばらつきにお悩みの方
・チューブ接続におけるプロセス効率化について知りたい方
・ケーブルタイ納品時の面倒な製品開封作業にお悩みの方
・ケーブルタイ納品時の緩衝材廃棄物の処理でお悩みの方
▼もくじ
従来のケーブルタイが抱える課題
バイオ医薬品製造工程のアップストリームにおけるプロセス液や粉体移送のための接続部をサポートする手段として、ほぼ全てのチューブに付属しているケーブルタイですが、チューブ接続部と接続部の周囲を360°方向から確実に密封できず、液漏れのリスクが常に生じることから、密封強度を向上させるためにさまざまな向きで追加のケーブルタイが必要でした。また、ケーブルタイは不均一な圧迫を引き起こし、接続不良が生じる可能性もあります。加えて、従来のケーブルタイやその他のチューブリテンション技術がもたらす別の懸念として、鋭いエッジ部分、取り付けのばらつき、微粒子の発生などが挙げられます。
革新的なチューブ保持ソリューション
このような従来のケーブルタイによって引き起こされる懸念を解消するために当社が設計した革新的なチューブ保持ソリューションがThermo Scientific™ BioTitan™リテンションデバイスです。
このBioTitanリテンションデバイスは、チューブの構成、チューブの内径と外径、バーブの種類、カラーの拡張性、チューブの種類を考慮し、バイオ医薬品製造工程で現在使用されている既存のバーブ接続に幅広く対応が可能です。
また、バーブ面と接続部品を360°方向から保護することにより、チューブ接続部と接続部品の周囲を完全に密封する強度を一貫して保てます。接続形状は、材質を問わず接続部の信頼度を高めて、接続部の周囲全体を確実に圧迫するよう設計されています。
さらに、BioTitanリテンションデバイスはオートクレーブ滅菌から凍結までさまざまな工程に適しており、さまざまな条件下でも確実に性能を維持し品質を保証しています。
データでみる競合他社との比較分析
ここからはBioTitanリテンションデバイスの性能を実際に検証してきます。ここでは、さまざまなサイズ、チューブの種類、環境条件で使用した場合の標準的なケーブルタイおよび競合他社の2つの製品に対する本デバイスの平均耐圧強度を測定する比較分析を実施しました。
比較分析は下記のようにPVC(ポリ塩化ビニル)比較、シリコン比較、TPE比較の3種類実施し、さまざまなチューブの種類と内径の間で認められる性能を比較しました。
3つのグラフ内の結果は、設定ごとの屈曲/液漏れの平均圧力を示しています。これをグラフでは「平均試験圧力」(各グラフ縦軸)と表示しています。グラフ内のエラーバーは、各設定について算出した平均値からの標準偏差、または試験デバイスの精度限界(3 psi)のうち、どちらか大きい方を示しています。部品、チューブ、アセンブリのわずかな違いにより、結果に多少のばらつきが生じる可能性がありますが似たような結果となっています。標準偏差が大きくなるほど、複数サンプルの試験中に認められる破損圧力の範囲が広がります。
これらのデータからBioTitanリテンションデバイスが競合他社やケーブルタイと比較しても同等、またはより高いパフォーマンスを示していることがお分かりいただけます。これらの結果は、屈曲部の近くなどより高い圧力がかかる構成であっても、接続部の液漏れや不具合を低減できることを意味しています。
納品時の製品開封作業の時間や緩衝材廃棄物の比較
こちらはBioTitanリテンションデバイスと、従来のケーブルタイのそれぞれの納品時における製品開封時間を実際に計測した動画です。
従来のケーブルタイでは開封時の面倒な手間や緩衝材などの廃棄物の処理にお困りの方が多かったとおもいますが、このBioTitanリテンションデバイスでは、開封時間が従来のケーブルタイ(約2分)に比べて大幅に削減(BioTitan使用時は約20秒)されています。開封時のストレスから解放され、開封後すぐにご使用いただくことが可能です。
まとめ
今回、バイオ医薬品製造工程においてプロセス溶液や粉体移送のための接続部をサポートする手段として付属しているチューブについて、従来のケーブルタイとそれに代わるBioTitanリテンションデバイスの比較について説明させていただきました。BioTitanリテンションデバイスは従来のケーブルタイと比べて、屈曲部の近くなど高い圧力がかかる構成であっても、接続部の液漏れや不具合のリスクを低減させると同時に、これまでケーブルタイでの納品時における開封作業に時間と手間がかかっていたのを劇的に低減できるなど、人的コストの削減にもつながることがお分かりいただけたと思います。
今回の試験データ等の詳細が示されたTechnical Briefは、下記リンクよりご確認いただけます。
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Technical Brief:チューブリテンションデバイスに関する比較分析
研究用または製造用にのみ使用できます。診断目的の使用、ヒトおよび動物への直接的な使用はできません。