微粒子リスクの不安を解決 ~バイオ医薬品製造工程におけるさまざまな微粒子リスクに対応する高品質な無菌保存について~

バイオ医薬品製造における微粒子は、製品の品質、安全性、効果に影響を及ぼす可能性があります。そのため、製造環境の管理、検査とモニタリング、原材料の選定など、包括的なリスク管理が必要とされています。今回は、バイオ医薬品製造の各工程で考慮すべき微粒子リスクレベルと当社のソリューションをご提案します。

▼このような方におすすめです!
・微粒子の規制について知りたい
・微粒子検出方法について知りたい
・微粒子レベルにあった保存およびソリューションを探している
・高品質の無菌保存について知りたい

バイオ医薬品製造工程における微粒子リスクとは?

バイオ医薬品製造工程における微粒子は、シングルユース製品を使用することで影響を受ける品質上のリスクの一つです。微粒子が混入した製品を使用してバイオ医薬品を製造した場合、血液に注入され静脈への刺激、局所組織の梗塞、アナフィラキシーショック、さらには死亡に至るなど、患者にいくつかの副作用を引き起こす可能性があります。

このような微粒子リスクを規制するため導入されているのが医薬品の製造や品質管理に関する基準や規定にあたる薬局方です。日本では厚生労働省が定める医薬品の品質基準であり、医薬品製造業者や薬局などの関係者がこれに準拠することが求められています。日本以外でもアメリカや欧州でも規制が定められており、微粒子分析の方法も同じ方法となっています。微粒子の含有量は、FDA(アメリカ食品医薬品局/Food and Drug Administration)、欧州委員会/EC(欧州医薬品庁/EMA)、日本の厚生労働省などの規制を受ける重要なパラメーターとなっています。

USP<788>とは?

USP<788>(Particular Matter in Injections)は米国薬局方(USP)のチャプターの一つで、注射剤に含まれる可視以下の微粒子の量と大きさを確認し、その安全性を保証するための基準を定めています。USP<788>では、この微粒子の量やサイズの測定を目的とする微粒子分析の方法について光遮蔽法と顕微鏡法の二つの方法が定められています。

  • 光遮蔽法:液体中の微粒子が光を遮ることで検出される方法
    この手法の利点は、簡単迅速に微粒子を計数でき、溶液中の微粒子数が多い場合でも計数可能。本手法の実施には、最低25 mLの溶液が必要
  • 顕微鏡法:顕微鏡を使用して液体中の微粒子を直接観察し、カウントする方法
    欠点は、粒子数が多過ぎると計数できず、または部分的にしか計数されない。試験は作業負担が大きいため、光遮蔽法より長時間を要し、多くの費用を要する

一般的には光遮蔽法の仕様が望ましいとされていますが、この方法では限界が適合せず、または製品の試験ができない場合は、顕微鏡法を使用し、溶液中の粒子数を判定します。

さまざまな微粒子レベルにあわせた3段階のボトル製品

こちらはバイオ医薬品製造のワークフローと微粒子リスクを示したスライドになります。一般的に、微粒子リスクは工程が進むごとにそのリスクが大きくなっていきます。そのためそれぞれのリスクレベルに合わせてボトルを選択することが大変重要です。

次のスライドは当社のThermo Scientific™ Nalgene™ボトルをクリーンレベル別にStandard、Certified Clean、Platinum Certified Cleanの三段階に分けたものを示しています。サイズも5 mLから50 Lまで展開しているため原薬およびバルク中間体の保存および輸送目的でご使用いただけます。

ボトル製品の3段階クリーンレベル

ボトル製品の3段階クリーンレベル


先ずは、Standardボトルですが、細胞株に開発と培地の最適化、混合、細胞培養、発酵などの微粒子レベルの低いアップストリーム工程の一般的な実験室におけるバッファーや原料保管の用途にお使いいただけます。リーズナブルなボトルをお求めのお客さまに最適です。

次に、Certified Cleanボトルですが、こちらは細胞除去や回収、精製、最終充填などの微粒子リスクが高くなるダウンストリーム工程での使用を想定しています。ダウンストリーム工程のような洗浄度の厳しい基準が求められる環境において、医薬品や治療用中間体の保管、血液内に注入する医薬品・治療薬の最終充填保管等でご使用いただけます。Standardボトルとの違いは以下5点です。

  • クリーンルーム(ISO Class 7)およびバージン樹脂で製造
  • 無菌性保証レベル(SAL)10-6
  • 微粒子レベルはUSP<788>許容値以下
  • 2種のシートヒールされたパッケージでの無菌性保証
  • 3種構造パッケージ

最後に、Platinum Certified Cleanボトルですが、こちらもCertified Cleanボトル同様にダウンストリーム工程の微粒子リスクが高い工程で使用可能なボトルとなっています。Certified Cleanボトルとの違いとしては以下4点があげられます。

  • クリーンルームで製造し、注射用水(WFI)で洗浄済み
  • 微粒子レベルはUSP<788>許容値 の1/3以下
  • エンドトキシンは0.25 EU/mL以下
  • 製造・洗浄・包装の各工程で微粒子検査を実施

まとめ

今回はバイオ医薬品製造工程にアップストリーム工程からダウンストリーム工程でのそれぞれの微粒子リスクにあわせた3段階のNalgeneボトルについて説明させていただきました。Standardボトルは主にアップストリーム工程、Certified Cleanボトルはダウンストリーム工程の中間体貯蔵用、Platinum Certified Cleanボトルはダウンストリーム工程の最終バルクおよび最終充填用です。アップストリーム工程からダウンストリーム工程にかけて微粒子リスクが高くなりますが、当社のNalgeneボトルはお客さまのアプリケーションに必要な製品を選択可能でさまざまな高品質の無菌保存および輸送ソリューションにもおつかいいただけます。

今回ご紹介しましたNalgeneボトルに関連する資料やご質問はこちらのフォームからお問い合わせください。

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