あなたにおすすめなのは?2種類のmicroRNA定量系

microRNAは20塩基前後の非常に短いRNAです。遺伝子の発現制御に関わっているものもあり、近年はバイオマーカーとしても注目されています。当社では逆転写の仕組みが異なる2種類のリアルタイムPCR用microRNA検出系を提供しています。Applied Biosystems™ TaqMan™ MicroRNA Assay(以下、従来法)とTaqMan Advanced miRNA Assay(以下、Advanced法)です。この記事ではそれぞれの方法の違いや強みについて解説します。ご自身の実験にはどちらが適切なのか、参考にしてみてください。

▼こんな方におすすめです!

  • これからmicroRNAの定量を始める方
  • 2種類の検出系で迷っている方
  • microRNA検出系の原理を知りたい方

TaqMan MicroRNA Assay(従来法)の特徴

従来法は各microRNAに特異的な逆転写プライマーを用いて逆転写を行う方法です。リアルタイムPCRのプライマーだけでなく、逆転写プライマーも各microRNAに特異的なものを用いるため、次に紹介するAdvanced法よりも特異性が高い方法です。

逆転写で用いるプライマーはlooped RTプライマーと呼ばれ、文字通りループ構造になっています。図1をご覧ください。

従来法の原理

図1:従来法の原理

microRNAは非常に短いため、それ自身だけではPCRの鋳型になることができません。そこでLooped RT プライマーで逆転写をしてPCRの鋳型となるのに十分な長さを確保した上で、TaqMan MicroRNA AssayでリアルタイムPCR反応を実施します。逆転写反応にかかる時間は約65分です。

従来法では各microRNAに対して異なる逆転写プライマーを用いるため、定量したいmicroRNAごとに別々のチューブで逆転写反応を実施します。例えば、3サンプルで5種類のmicroRNAを検出する場合には、3×5=15で、15本のチューブで逆転写反応を実施します。そのため測定するmicroRNAの数が多い場合に操作が煩雑になる点がデメリットといえます。

ターゲットのmicroRNAが比較的少ない場合(目安は10種類以下)や特異性を高くしたい方におすすめの方法が従来法です。

TaqMan Advanced miRNA Assay(Advanced法)の特徴

Advanced法はユニバーサルな逆転写プライマーを用いて逆転写反応を実施します。逆転写反応のステップ数が増えますが、ターゲットmicroRNAごとにチューブを分ける必要がないためターゲットが多い場合は従来法よりも操作が簡便です。定量したいmicroRNAの数が10より多い場合におすすめです。

デメリットは逆転写反応のステップ数が4ステップと多いため(図2)、従来法と比較すると逆転写反応に時間がかかる点です。逆転写反応にかかる時間は従来法では約65分であったのに対し、Advanced法では約145分です。またユニバーサルなRTプライマーを用いるため、従来法の方が特異性は高いです。

逆転写反応では最初にmicroRNAにPoly(A)を付加します。次に5’側にAdapterを付けます。その後ユニバーサル逆転写プライマーを用いて逆転写をし、miR-Ampと呼ばれるPre-amplificationのステップを実施します。その後リアルタイムPCRで各microRNAに特異的なApplied Biosystems™ TaqMan™ Assayを用いて検出します。

Advanced法の原理

図2:Advanced法の原理

スクリーニング目的などターゲットの数が多い方(目安は10種類より多い場合)におすすめの方法です。
snRNAなどmicroRNAよりも長いsmall RNAには対応していません。

注文する際の注意点

microRNA用TaqMan Assayのデフォルトの検索条件は、Advanced法となっています。従来法の製品でTaqMan MicroRNA Assayを注文される際は、検索条件の変更が必要です。
検索ページのAdvanced Searchをクリックし、miRNA Productsのプルダウンから「miRNA Assay and Controls」を選択すると従来法の製品を検索できます。

検索する製品の切り替え

図3:検索する製品の切り替え

検索した製品がどちらの検出系の製品かは製品番号から判断できます。製品番号4427975、4440887、4440888は従来法用、製品番号A25576はAdvanced法用のTaqMan Assayです。

逆転写のメカニズムが異なるため、使用する逆転写試薬も異なります。それぞれで使用する逆転写試薬をご紹介します。

従来法で使用する逆転写試薬

Advanced法で使用する逆転写試薬

購入する際はお使いになるTaqMan Assayに合った製品をご選択ください。

まとめ

当社では2種類のmicroRNA検出系を提供しています。特異性の高い従来法と、対象のmicroRNAの数が多いスクリーニング目的の際におすすめのAdvanced法です。ご自身の実験系に合わせてお選びください。

製品の検索は下記ページから可能です。ご自身の興味のあるmicroRNAがあるか、検索してみてください。
TaqMan Assays を使用した MicroRNA 解析

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TaqMan is a trademark of Roche Molecular Systems, Inc., used under permission and license.
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

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