
ポリマーペレット
ラマン顕微鏡はラマン分光器と光学顕微鏡が組み合わせられた装置で、サンプルからミクロンスケールでの化学的および構造的情報を得ることを可能にします。ラマン分光法は、光の波長が分子と相互作用するにつれて変化する現象を観察します。ラマン散乱に見られる異なる波長によって、分子の化学結合内の振動、回転、および曲がりに関する力を同定し、評価することができます。
三次元(3D)ラマンイメージングは、材料内の化学構造をミクロンスケールで、しかも三次元構造を作ることによって、他のどの技術とも異なった方法でサンプルを評価する手段を提供します。顕微鏡はサンプルの形態を調べることができ、他の分光法はサンプルの元素構成を特定することができますが、ラマン顕微鏡法はサンプルの構造的情報および化学的情報の両方を提供します。赤外顕微分光法は、ラマン顕微鏡法の情報量には及びません。
ラマンはまた、二重結合および三重結合炭素分子などの弱い赤外シグナルを有するサンプルから分子情報を得ることができます。さらにラマンは、水溶性混合物やガラスおよび透明プラスチックを通して、サンプルを評価することができます。
光学顕微鏡の光学セクショニングは、厚いサンプル内の一連の焦点面におけるイメージング画像を生成します。これは、サンプルを物理的に切片化するのではなく、各画像平面内の焦点外光を除去することによって、厚いサンプルから薄いスライスを非破壊的に得ることを可能にします。共焦点顕微鏡法は、照射されたサンプルスポットおよびビーム経路内のピンホールアパーチャが同じ焦点を共有します。実際には、サンプル全体ではなく、小さな部分だけが点状の光源で照らされています。次いで、ピンホールによって焦点の合っていない光をブロックし、そのことでコントラストおよび被写界深度が向上します。
固体材料の化学的組成は、その材料の深さ内でしばしば変化し、ある相から別の相へと徐々に変化することもあれば、急激に変化することもあります。次に、共焦点ラマン顕微鏡が、サンプルを三次元空間的 (x、y(横方向)およびz(深さ方向)軸) にフィルタリングすることができるラマンイメージングシステムの能力を説明します。
共焦点ラマン顕微鏡には、x、y(横)およびz(深さ)軸でサンプルを3次元的に理解できる能力が備わっています。この光学セクショニング技術は、サンプリングする各焦点面からのラマンスペクトルを非破壊的に取得することができます。さらにイメージング顕微ラマンサンプル中の各平面のケミカルマッピングを作成することを可能にします。次いで、3Dイメージングソフトウエアは、サンプルの各平面を合成し3Dイメージとして表示します。
取得した一連のデータセットは、スペクトル収集後のいつでも、分析またはスペクトル解析のために呼び出せます。

Thermo Scientific™ DXR™ 3xi イメージング顕微ラマン
共焦点顕微鏡法の重大な課題は、レンズの中心領域を通過する光とは異なるレンズの周辺領域を通過する光の焦点が生じるときに、球面収差が生じることです。球面収差の影響は、サンプルへの深さの増加と共に増幅します。ステージ単独のZ軸位置から予想されるものよりも、さらにサンプル内のより遠い点に光を集束させると、得られた画像は人工的に圧縮されたように見えます。また、焦点の広がりによって焦点にぼけが生じ、空間分解能とラマン強度の両方が失われます。
顕微鏡のオプションである液浸対物レンズは、サンプルの屈折率に合った材料を用いて対物レンズと試料の間の介在空間(空気)を置き換えることにより、球面収差を除去し、空間分解能と強度の損失を回復させます。液浸対物レンズの一種である油浸対物レンズには、1.5付近の屈折率を有するオイルを使用します。オイルを対物レンズとサンプルとの間の中間物質として使用することによって、開口数を多くすることができ、ラマン強度を向上させることができます。
油浸対物レンズを使用することで3Dラマンイメージングがどのように改善されるかを、新しく公開したアプリケーションノート:「3Dラマンイメージングと油浸対物レンズによる表面下構造からの化学的情報」にて紹介しています。
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