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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / endAってどういう意味?知っておくと役立つ主な大腸菌の遺伝子型まとめ

endAってどういう意味?知っておくと役立つ主な大腸菌の遺伝子型まとめ

作成者 LATB Staff 10.15.2015

製品カタログでコンピテントセルを探していると、欠損している遺伝子が表記されていますが、パッと見でどんな機能が欠損しているのかよく分かりませんよね?

そこで今回は、よく使用される大腸菌の遺伝子型をまとめましたのでご紹介します!

▼もくじ

  • 大腸菌ホストの遺伝子型
  • P3プラスミドを保持している大腸菌の増殖について
  • 主な大腸菌の遺伝子型
  • おわりに
  • これだけは知っておきたいクローニングの基礎知識、ココにあります!

大腸菌ホストの遺伝子型

大腸菌名 遺伝子型
BL21-AI F– ompT hsdSB(rB–, mB–) gal dcm araB::T7RNAP-tetA
BL21(DE3) F– ompT hsdSB(rB–, mB–) gal dcm (DE3)
BL21(DE3)pLysS F– ompT hsdSB(rB–, mB–) gal dcm (DE3) pLysS (CamR)
BL21(DE3)pLysE F– ompT hsdSB(rB–, mB–) gal dcm (DE3) pLysE (CamR)
BL21 Star™(DE3) F– ompT hsdSB(rB–, mB–) gal dcm rne131 (DE3)
BL21 Star™ (DE3)pLysS F– ompT hsdSB(rB–, mB–) gal dcm rne131 (DE3) pLysS (CamR)
ccdB Survival™2 F- mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 recA1 araΔ139 Δ(ara–leu)7697 galU galK rpsL (StrR) endA1 nupG fhuA::IS2
DB3.1™ F– gyrA462 endA1 Δ(sr1-recA) mcrB mrr hsdS20(rB–, mB–) supE44 ara-14 galK2 lacY1 proA2 rpsL20(SmR) xyl-5 λ– leu mtl1
DH5α™ F– Φ80lacZΔM15 Δ(lacZYA-argF) U169 recA1 endA1 hsdR17 (rK–, mK+) phoA supE44 λ– thi-1 gyrA96 relA1
DH5α™ T1R F– Φ80lacZΔM15 Δ(lacZYA-argF)U169 recA1 endA1 hsdR17 (rK–, mK+) phoA supE44 thi-1 gyrA96 relA1 tonA
DH10B™ F– mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 recA1 endA1 araD139 Δ(ara leu) 7697 galU galK rpsL nupG λ–
DH10B™ T1R F– mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 recA1 endA1 araD139 Δ(ara leu) 7697 galU galK rpsL nupG λ– tonA
DH10Bac™ F– mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 recA1 endA1 araD139 Δ(ara leu) 7697 galU galK λ– rpsL nupG/ pMON14272/pMON7124
DH12S™ Φ80d lacZ ΔM15 mcrA Δ(mrr-hsdRMS-mcrBC) araD139 Δ(ara, leu)7697 ΔlacX74 galU galK rpsL(StrR) nupG recA1 / F’ {proAB+ lacIq lacZDM15}
INV110 F´ {traΔ36 proAB lacIq lacZΔM15} rpsL (StrR) thr leu endA thi-1 lacY galK galT ara tonA tsx dam dcm supE44 Δ(lac–proAB) Δ(mcrC-mrr)102::Tn10 (TetR)
INVαF´ F´ endA1 recA1 hsdR17 (rK–, mK+) supE44 thi-1 gyrA96 relA1 Φ80lacZ ΔM15 ΔlacZYA-argF)U169
Mach1™ T1R F– Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 hsdR(rK–, mK+) ΔrecA1398 endA1 tonA
MegaX DH10B™ T1R F– mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 recA1 endA1 araD139 Δ(ara leu)7697 galU galK λ– rpsL nupG tonA
OmniMAX™ 2 T1R F´ {proAB+ lacIq lacZΔM15 Tn10(TetR) Δ(ccdAB)} mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 Δ(lacZYA-argF) U169 endA1 recA1 supE44 thi-1 gyrA96 relA1 tonA panD
PIR1 F– ∆lac169 rpoS(am) robA1 creC510 hsdR514 endA recA1 uidA(∆Mlu I)::pir-116
PIR2 F– ∆lac169 rpoS(am) robA1 creC510 hsdR514 endA recA1 uidA(∆Mlu I)::pir
Stbl2™ F– mcrA Δ(mcrBC-hsdRMS-mrr) recA1 endA1 lon gyrA96 thi supE44 relA1 λ– Δ(lac–proAB)
Stbl3™ F– mcrB mrr hsdS20 (rB–, mB–) recA13 supE44 ara-14 galK2 lacY1 proA2 rpsL20 (StrR ) xyl-5 λ– leu mtl-1
Stbl4™ mcrA Δ(mcrBC-hsdRMS-mrr) recA1 endA1 gyrA96 gal– thi-1 supE44 λ– relA1 Δ(lac–proAB)/F´ proAB+ lacIqZΔM15 Tn10 (TetR)
TOP10 F– mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 recA1 araD139 Δ(ara leu) 7697 galU galK rpsL (StrR) endA1 nupG
TOP10F’ F´{lacIq, Tn10(TetR)} mcrA Δ(mrr–hsdRMS-mcrBC) Φ80lacZΔM15 ΔlacX74 recA1 araD139 Δ(ara leu) 7697 galU galK rpsL (StrR) endA1 nupG

P3プラスミドを保持している大腸菌の増殖について

P3 プラスミドを持っている大腸菌では、tRNAサプレッサー F遺伝子(supF)をコードしているプラスミドの維持や選択が可能です。P3は低コピーの60 kbのエピソームプラスミドで、カナマイシン耐性遺伝子と、テトラサイクリンとアンピシリンそれぞれの耐性遺伝子のアンバー変異ミュータントを有しています。そのため、P3のみを保持した大腸菌は、カナマイシンには耐性がありますが、テトラサイクリン、アンピシリンには感受性があります。P3 プラスミドを持った大腸菌にsupFプラスミド(例えばpcDNA1.1やpCM8など)でトランスフォームすると、それらはテトラサイクリン、アンピシリンへの耐性を獲得します。またアンバー変異がもとに戻る率はかなり高いので、テトラサイクリンとアンピシリンの両方でセレクションすることが重要です。修復された大腸菌株が増えるのをさけるために、培地には、比較的低濃度のテトラサイクリン(7.5 -10 μg/ml)とアンピシリン(25-40 μg/ml)を加えることをお勧めします。

主な大腸菌の遺伝子型

遺伝子名 内容
ara-14 アラビノースの代謝ができない。
argF オルニチンカルバモイル転移酵素の変異。アルギニンの代謝を阻害。
dam/dcm GATC配列中のアデニンのメチル化(dam) またはCCWGG配列中のシトシンのメチル化(dcm) が起こらないような変異。メチル化により活性に影響を受ける制限酵素(AvaII、BclIIなど)で切断するためのDNAの増殖に利用される。
DE3 T7 RNAポリメラーゼをコードする溶原菌。T7-発現系での誘導発現に用いられる。
deoR デオキシリボース合成に関連した遺伝子の恒常的発現を可能にする制御遺伝子。大きなDNAを効率的に取り込みにくくする。
endA (endA1) 非特異的エンドヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼI の変異。非特異的エンドヌクレアーゼ活性を除いたので、プラスミドの調製が改善される。
F’ M13ファージで感染させた際の一本鎖DNAの生成に用いられる、自己伝播性のプラスミド。F’にはその維持を可能にする耐性マーカーを含むことが多く、lacIおよびlacZΔM15遺伝子型を保有することが多い。
galK ガラクトキナーゼの変異によりガラクトースの代謝ができない。galK-の大腸菌はラクトースを唯一の炭素源とする環境下で増殖できる。
galU グルコース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼの突然変異によりガラクトースが利用できない。galU-の大腸菌はガラクトースが唯一の炭素源である培養液で増殖できる。
gyrA96 DNAジャイレースの変異。ナリジクス酸に対して耐性を示す。
hsd 大腸菌が外来DNAを認識することを可能にするメチル化および制限切断のシステムの変異。hsd遺伝子型はPCR反応によって生成されたDNAの効率的なトランスフォーメーションを可能にする。
*hsdR-非メチル化EcoKI部位の制限切断を取り除く(1)。
**hsdRMS-非メチル化EcoKI部位の制限切断とEcoKI部位のメチル化を同時に取り除く(1)。
†hsdS-EcoB部位の制限とメチル化を同時に取り除く(2)。
lacI(lacIq) lacオペレータを有するプロモーターからの発現を制御するlacリプレッサーをコードする。IPTGがlacリプレッサーと結合してそのプロモーターの抑制を解除する。blue/whiteスクリーニングを行ったり、組換え遺伝子の発現をコントロールするために用いられることが多い。
lacy1 β-D-ガラクトシダーゼの変異。これによりラクトースの代謝を阻害。
lacZ β-D-ガラクトシダーゼ遺伝子。これに変異が生じるとX-galの存在下で無色(変異がない場合は青)のコロニーが生成する
lacZ∆M15 lacZ遺伝子のα-相補性を有した部分欠失遺伝子。組換え体のblue/whiteスクリーニングに用いられる。通常、ラムダ状プロファージφ80またはF’上に存在する。
leuB β-イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼの変異。増殖には最少培地にロイシンの添加を必要とする。
lon Lon ATPase-依存性プロテアーゼの欠損。組換えタンパク質の分解を抑制。B株はすべてこの変異を保有する。
mcrA, mcrBC, mrr メチル化DNAを外来DNAとして認識できなくする変異。ゲノムDNAやメチル化cDNAをクローニングする際にこの遺伝子型が必要。
nupG ヌクレオシド輸送系の変異。
ompT 外部細胞膜プロテアーゼを欠いた大腸菌。菌株内で発現された異種のタンパク質の分解を抑制する。OmpT–株では分解を受けていない組換えタンパク質の回収率が向上する。
P3 アンバー変異を有したアンピシリンおよびテトラサイクリン耐性遺伝子を保有する60 kbの低コピープラスミド。主にsupF-含有プラスミドの選択に用いられる。セレクション用のカナマイシン耐性遺伝子がある。
pLys T7リゾチームをコードするプラスミド。T7 RNAポリメラーゼの基底レベルを抑制することによりT7-誘導発現系における基底発現を抑制するために用いられる。
proAB 最少培地にプロリンの添加が必要。
recA DNAの一般的な組換えに関与する遺伝子の変異。導入DNAと宿主DNAとの組換えを防ぐ。特にダイレクトリピートを有する遺伝子のクローニングに有用。
relA タンパク質合成が行われずにRNAが合成される(弛緩表現型)。relA遺伝子座は転写と翻訳間のカップリングを調節する。野生型ではアミノ酸濃度が制限されるとRNA合成が停止する(緊縮応答としても知られる)。relA株(弛緩応答)ではアミノ酸濃度が制限されていてもRNAの合成が継続する。
rspL 30S リボソームのS12 サブユニットの変異。ストレプトマイシンに対する耐性が得られる。
supE,F アンバー(supE)(UAG)またはチロシン(supF)のtRNAグルタミンサプレッサー。
thi-1 最少培地にチアミンの添加を要求する。
Tn10 トランスポゾンを介したテトラサイクリン耐性
tonA 溶菌性バクテリオファージのT1、T5およびφ80に対する耐性を付与する。
traD, D36 転移因子の変異によりF’エピソームの転移を妨げる
tsx T6ファージおよびコリシンKに対する耐性を付与する。
xyl-5 キシロースの代謝の阻害。

(1) EcoKI認識部位: CC(N6)GTGC もしくは GCAC(N6)GTT
(2) EcoB認識部位: TGA(N8)TGCT

おわりに

いかがでしたでしょうか?

自分の実験目的に合った大腸菌を探すとき、今回紹介した遺伝子型の一覧が参考になるのではないでしょうか。よく分からない遺伝子型を見たときはぜひこの記事を思い出してください!

これだけは知っておきたいクローニングの基礎知識、ココにあります!

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