ラマンイメージングを用いたポリプロピレンの応力分布測定

ラマンイメージング測定は従来のラマンマッピング測定に比べ広範囲のラマンスペクトルを迅速に得られるため、成分の分布を観測するのに活用されています。今回は、ラマンイメージングを用い、ポリプロピレン樹脂材料の応力分布測定を行った例を紹介します。

サンプル

板状のポリプロピレン(厚さ約1.4 mm)を一部切り取り、折り曲げました。この操作により、屈曲部に応力がかかり、一部白濁する様子が確認されました。剃刀により断面を切り出し、ラマンイメージング測定を行いました。

図1:板状ポリプロピレンサンプルの概略図と切り出し断面の可視画像

図1:板状ポリプロピレンサンプルの概略図と切り出し断面の可視画像

測定

ラマンイメージング測定および解析には、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のThermo Scientific™ DXR™ 3xiイメージング顕微ラマンと付属のThermo Scientific™ OMNICxi™ラマンイメージング用ソフトウエアを用いました。

DXR3xiイメージング顕微ラマンは広範囲の高速イメージングと0.5 μm以下の微小エリアの高空間分解能イメージングを両立し、さらにユニークなキャリブレーション機構により、常に最適化された状態でご使用いただける製品です。

本実験に用いた、主な測定条件は以下の通りです。

<測定条件>
レーザー波長: 532 nm
スペクトル数: 11543
測定エリアサイズ: 約3.6×2.9 mm
測定時間: 約25分

図2:DXR3xiイメージング顕微ラマン

図2:DXR3xiイメージング顕微ラマン

ラマンイメージング測定結果

ポリプロピレンの屈曲部近傍で2960 cm-1付近のピークがシフトする様子が見られました。このピークシフトを用い解析したところ、図3のイメージが得られました。屈曲部近傍に応力が生じている様子が確認できます。

図3:2960 cm-1付近のピークシフトにより解析したイメージ(左)と、屈曲部および屈曲部より離れた場所のスペクトル(右)

図3:2960 cm-1付近のピークシフトにより解析したイメージ(左)と、屈曲部および屈曲部より離れた場所のスペクトル(右)

まとめ

ラマンイメージング測定を行うことにより、高分子材料や成形品などの応力分布をイメージ像として得られました。イメージングの測定によりピンポイントのスペクトル測定では判別が困難な応力分布評価を行うことが可能となります。

関連情報
関連製品Webページ→ DXR3xi イメージング顕微ラマン

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