PowerTrack™ SYBR™ Green Master Mix for qPCRの使用方法

新しく実験を始める際、まず初めに確認することは試薬や装置の使い方だと思いますが、こういったものの確認って意外と大変ですよね?今回はSYBR Green色素の実験系を活用されている方におすすめしているApplied Biosystems™ PowerTrack™ SYBR™ Green Master Mix for qPCRの使用方法について、要点を絞って紹介いたします!こちらの試薬には色がついていて、どこまで試薬を分注したのかも目視で簡単に確認可能です!
「実験を始めるのはこれからで操作が不安」という方から、「希少サンプルを扱うために絶対に操作ミスできない」という現場まで、多くの方々に安心してお使いいただける試薬です。

こんな方におすすめです!
・これからSYBR Green色素を使った試薬でリアルタイムPCR実験を始められる方
・試薬の使用方法の要点をかいつまんで確認したい方
・長い英語のマニュアルに目を通す時間がない方

実験に必要な試薬類

PowerTrack SYBR Green Master Mix for qPCR
(Yellow Sample Bufferも同梱されています)
Forward primer
Reverse primer
cDNAサンプル
Nuclease-free water

実験の流れ

実験は

  1. (オプション)Yellow Sample BufferをcDNAサンプル溶液に添加
  2. プレミックス溶液の調製
  3. プレミックス溶液の分注 + cDNAサンプル溶液の添加
  4. リアルタイムPCR装置で測定

という流れで進めます。

20 μL/wellとして調製するときを例として、各ステップでの操作を一つずつ見ていきましょう。

1. (オプション)Yellow Sample Bufferをサンプル溶液に添加

cDNAサンプル溶液にあらかじめYellow Sample Bufferを添加してサンプル溶液を黄色にします。PowerTrack SYBR Green Master Mix自体が青いため、Yellow Sample Bufferで黄色くしたcDNAサンプル溶液を加えることで反応液が緑色になり、どこのプレミックス溶液までサンプルを添加したかを視覚的に追えるようになります。
もちろん、試薬につけられた色は蛍光の検出には影響を与えません。

それぞれ青と黄色の試薬を…

それぞれ青と黄色の試薬を…


混ぜると緑色に!

混ぜると緑色に!

cDNAサンプル溶液2 μLに対してYellow Sample Buffer 0.5 μLの割合で添加し混合します。また、測定に用いるcDNA量は1ngから10 ng(gDNAのときは10 ngから100 ng)が添加されるようにサンプル溶液を調製してください。

※注意
Yellow Sample Bufferは測定直前に加えてください。事前にサンプル溶液にYellow Sample Bufferを加えて長期間保存することはcDNAの状態に影響を与える可能性がございます。

▼Tips
・Yellow Sample Bufferの使用は必須ではありません。操作数を減らしたい、という場合にはこの作業工程はスキップできます。
・cDNAサンプル溶液は必ずしも2 μLである必要はありません。サンプル濃度などによって液量を調整してください。ただし、あまり多くは入れ過ぎないようにご注意ください。cDNAサンプル溶液には逆転写反応時のバッファーなどが含まれているため、サンプル溶液が多いとリアルタイムPCRの反応液の組成が変わってしまい、効率良くPCRが進まない恐れがあります。cDNAサンプル溶液は反応液全量の1割程度、多くとも2割程度が一つの目安です。
・Yellow Sample Bufferは40×濃度になっていますので、cDNAサンプル溶液量に関わらず0.5 μLを加えていただければ、20 μL/wellの場合、終濃度が1×濃度となります。

2. プレミックス溶液の調製

まずはcDNAサンプル溶液以外に必要な試薬をあらかじめ全て混ぜてしまいましょう。反応液量が20 µLとなるように調製するには、下表を参考にしてください。ただし、プライマー溶液やcDNAサンプルの濃度によっては、それぞれの添加量が変わります。その場合は、最後にNuclease-free waterの量で全体の反応液量が20 µLとなるように調整してください。

Component Volume
PowerTrack SYBR Green Master Mix (2X) 10μL
forward and reverse primers 1μL
Nuclease-free water 6.5μL
Total 17.5μL
※プライマーの推奨終濃度は300~800 nMです。

▼Tips
・PowerTrack SYBR Green Master Mix for qPCRは室温で8時間安定です。試薬調製の際に室温のまま操作いただけます。
・マスターミックス試薬にはグリセロールが含まれており、溶液全体が均一になりにくいため、十分に混合することが重要です。可能であればボルテックスミキサーなどを用いて、添加後に十分に混合することをおすすめします。

3. プレミックス溶液の分注 + cDNAサンプルの添加

リアルタイムPCR装置での測定に使用する96 wellプレートなどを用意し、測定する各ウェルに2で用意したプレミックス溶液を分注します。その後、各ウェルにcDNAサンプルを分注します。それぞれの分注量は、1や2で用意した液量に合わせてください。例えば、今回の例ですとプレミックス溶液 17.5 μL + cDNAサンプル溶液 2.5 μLです。

4. リアルタイムPCR装置で測定

以下の条件で測定を行います。
通常はFast cyclingの条件で測定し、テンプレートがgDNAの場合や増幅産物長が長い場合にはStandard cyclingの条件で測定するのがおすすめです。

Fast cycling
Step Temperature Duration Cycles
Enzyme activation 95℃ 2 minutes 1
Denature 95℃ 5 seconds 40
Annealing/extend 60℃ 30 seconds
Melt Curve
Standard cycling
Step Temperature Duration Cycles
Enzyme activation 95℃ 2 minutes 1
Denature 95℃ 15 seconds 40
Annealing/extend 60℃ 60 seconds
Melt Curve

▼Tips
当社の装置の場合、デフォルトで表示されるMelt Curveの条件がそれぞれの装置に合わせた条件となっているため、基本的にはデフォルト条件のまま測定することをおすすめしています。

測定が始まったらあとは結果が出るのを待つだけです!
PowerTrack SYBR™ Green Master Mix for qPCRのPCRはおよそ40分程度で終わります。Melt Curveも装置によっては5分程度で測定できますので、1ランの測定に50分もかかりません。

ぜひ皆さまもご活用ください!
今回の記事作成にあたりまして、「User Guide: PowerTrack SYBR Green Master Mix」を参照しています。より詳細な内容を確認したい方はこちらもご確認ください。

▼Tips
ここまで20 μL/wellでの反応液量で紹介してきましたが、この液量での調製は必須ではありません。お手元の状況に合わせて、同じ比率で液量を増やしたり減らしたりして調製いただくことも可能です。
その他、試薬の使用方法などでお困りのことがございましたらテクニカルサポートまでお気軽にご連絡ください。

TEL: 0120-477-392 (リアルタイムPCRダイレクト番号:1番)
Email: jptech@thermofisher.com

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