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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / in vitroにおける3Dがん細胞モデリングをサポート!

in vitroにおける3Dがん細胞モデリングをサポート!

Written by LatB Staff | Published: 06.11.2020

がん細胞研究において通常行われている単層(2次元)細胞培養は実際にin vivoで細胞が受けている複雑な環境を正確に反映しているとは言い切れません。例えば、細胞の形状は本来の形に比べて平坦に引き伸ばされておりストレスがかかった状態になっています。また、細胞分化や細胞間結合などもin vivoの状態と比べると低下します。細胞は常に細胞外マトリックス(ECM)との相互作用によって細胞遊走やアポトーシス、転写の制御、受容体の発現といった生物学的機能をコントロールされています。
これに対して、3次元細胞培養では細胞はin vivoと同様に自然な形状が保たれています。細胞分化や細胞間結合も活発に行われ、in vivoの生理学的環境に近い状態を維持できます。
そこで今回は、がん細胞スフェロイド形成やES細胞 / iPS細胞の胚様体形成の研究に有効な3次元細胞培養に適した低吸着表面処理容器、Thermo Scientific™ Nunclon™ Sphera™表面についてご紹介いたします。

▼こんなアプリケーションにおすすめです!
・HepG2などのがん細胞のスフェロイド形成
・ES細胞 / iPS細胞の胚様体形成
・がん細胞を始めとする足場非依存性コロニー形成
・創薬や再生医療の研究

▼もくじ

  • Nunclon Sphera表面とは?
  • Nunclon Sphera表面のパフォーマンス
  • がん細胞研究への応用 – 薬剤のスクリーニング
  • まとめ
  • 【無料ダウンロード】Gibco細胞培養基礎ハンドブック

Nunclon Sphera表面とは?

細胞膜と同じ成分のホスホリルコリン基を有するMPC(2-Methacryloyloxyrthyl Phosphoryl Choline)ポリマーを培養器材表面にコーティングすることにより細胞やタンパク質の吸着を著しく抑制することができます。これはMPCポリマーが超親水性であるために疎水性相互作用(疎水結合)がほとんど起こらないこと、表面の電荷がほぼゼロに等しいため静電気的結合がほとんど起こらないことに起因するものです。
この性状によって3次元細胞培養が容易になります。スフェロイドや胚様体が均一で再現性よく形成され、タンパク質成分を含む細胞の分泌物や増殖因子などの器材表面への吸着によるロスを大幅に低減することができます。

Nunclon Sphera表面のパフォーマンス

①細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の非特異的結合
Thermo Scientific™ Nunclon™ Sphera™ 96ウェルプレートとThermo Scientific™ Nunclon™ Delta 96ウェルプレートに、FITC標識ウシコラーゲンタイプⅠとTAMRA™標識フィブロネクチンを分注してインキュベーション後、蛍光強度を測定しました。その結果、Nunclon Sphera表面へのECMの結合は極めて低いことがわかりました。これはNunclon Sphera表面がECM結合能を最小化し、表面への吸着を阻害することを示唆しています。

②細胞接着
U937細胞、Vero細胞、A549細胞を6ウェルマルチディッシュで培養してからマルチディッシュを洗浄、残った細胞をDPBSで溶解して蛍光強度を測定しました。その結果、Nunclon Sphera表面への細胞の接着は、他社ブランドの低吸着処理のマルチディッシュや未処理のマルチディッシュに比べて極めて低いことがわかりました。これは血清と豊富なECMタンパク質の吸着を抑制していること示唆しています。

③スフェロイド形成
3種類のがん細胞株(HeLa、HepG2、MCF7)を播種して7日間培養しました。
その結果、HeLa、HepG2、MCF7細胞はNunclon Sphera表面においてスフェロイド形成数に関して良好な結果を示しました。
HeLa 総細胞数:4.0x105 cells/wellに対してスフェロイド数:70 spheroids/well
HepG2 総細胞数:4.5x105 cells/wellに対してスフェロイド数:70 spheroids/well
MCF7 総細胞数:3.0x105 cells/wellに対してスフェロイド数:90 spheroids/well

がん細胞研究への応用 – 薬剤のスクリーニング

がん細胞をスフェロイド形成(3次元細胞培養)させて同じがん細胞の単層細胞培養(2次元細胞培養)と一緒に薬剤に対する感受性を比較した場合、スフェロイド形成させたがん細胞の方が高い抵抗性を示します。これはスフェロイドの表層にある細胞が内側に存在する細胞を薬剤の貫通から防ぎ、再び細胞周期に入った時に残存した内側の細胞が腫瘍を再現させてしまう可能性があるためです。また、スフェロイドは遺伝子/タンパク質発現や情報伝達がin vivoに類似しているために薬剤耐性遺伝子やマイクロRNAの発現を促すことがあります。
薬剤のスクリーニングにがん細胞スフェロイドを使用することは、単層培養細胞ではアポトーシスを引き起こす薬剤レベルが実際に効果があるのかを確認することができ、in vivoで効き目がある薬剤の特定、投与量の決定が可能になります。

まとめ

Nunclon Sphera表面の特長
・細胞膜と同じ成分の生体適合性があるホスホリルコリン基を有し、細胞接着を制御
・形成した胚様体(EB)の品質は均一かつ安定で高い再現性を実現
・タンパク質やペプチドに対しても高い吸着抑制効果
・動物由来成分フリー

アプリケーションノート:「Nunclon Sphera表面における浮遊状態での効率的な3次元がん細胞スフェロイド形成サポート」もご請求ください。
3D細胞培養に関する情報はこちらから

【無料ダウンロード】Gibco細胞培養基礎ハンドブック

細胞培養に関する基礎情報を解説したハンドブックをご用意しています(日本語版、約100ページ)。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。

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