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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 細胞培養・イメージング / 幹細胞の基礎を学ぼう

幹細胞の基礎を学ぼう

Written by LATB Staff | Published: 09.08.2021

▼もくじ [非表示]

  • 幹細胞とは
  • 幹細胞のキャラクタリゼーション
  • 多能性幹細胞
  • まとめ
  • [無料ダウンロード]再生医療研究用製品カタログ

幹細胞とは

幹細胞とは、自己複製能と分化能を持つ特殊化していない細胞と定義されています(図1.1)。自己複製とは、幹細胞が複数の細胞分裂の周期を経ても、未分化状態を維持する(すなわち、母細胞と同一の娘細胞を生成する)能力と定義されています。これに対し分化能とは、幹細胞が体内に存在するニューロン、肝細胞、あるいは筋細胞などの特殊化した細胞タイプに分化する能力を指します。
最近まで幹細胞は、2種類の主要な成体幹細胞および胚性幹細胞について一般的に研究されてきました。成体幹細胞は未分化状態にあると考えられており、組織の分化細胞中に存在します。その主要な役割は、成体幹細胞が存在する組織の維持と修復です。成体幹細胞は多分化性ですが、その分化は由来となる組織内のさまざまな細胞タイプへの分化に限られます。胚性幹細胞(ESC)は、着床前の初期胚から分離されます。成体幹細胞とは異なり、ESCはより長期間の培養にわたり分裂することができ、ヒト体内に存在するあらゆる細胞タイプに分化する能力を持つことから、多能性幹細胞(PSC)と呼ばれます。他のタイプの多能性幹細胞に、人工多能性幹細胞(iPSC)があります。iPSCは、皮膚線維芽細胞などの体細胞をリプログラミングすることによって作製できます。ユニークな特徴を持つ多能性幹細胞は、発生生物学、疾患モデリング、薬剤スクリーニング、および細胞療法の領域において、計り知れない可能性を秘めています。健常ドナーまたは疾患ドナーの体細胞から直接iPSCを作製することを可能とするリプログラミング技術がさらに発展することにより、その可能性は大きく広がります。

幹細胞の分化

幹細胞のキャラクタリゼーション

近年の技術の進歩に伴い、多様な幹細胞株(stem cell line)がさまざまな条件において誘導および培養されています。さらにこれらの幹細胞から成熟した機能的な分化細胞を誘導するために多種多様なプロトコルが開発され最適化されてきました。PSCおよび成体幹細胞の質、それらの分化誘導を確認するための信頼できるキャラクタリゼーション法には巨大なニーズが存在します。既存のキャラクタリゼーション法は、細胞同定のためのキーマーカー発現の解析や、細胞の挙動および安全性に影響を与える可能性のある異常の検出によって、主として、分化能などの基本的な特性についてテストするアッセイパネルから構成されます。当社は、幹細胞およびその誘導体を解析するためのさまざまなキャラクタリゼーションツールを取り揃えております。たとえば、免疫組織化学やフローサイトメトリーなどの抗体ベースのキャラクタリゼーション法が使用されています。

多能性幹細胞

前述のように、ヒト多能性幹細胞(PSC)は、自己を際限なく再生し、適切な微小環境においてヒト体内に存在するほぼすべての細胞タイプに分化する能力を特徴とします。PSCは、胚性幹細胞(ESC)と人工多能性幹細胞(iPSC)の2種類が一般的に研究されています(図2.1)。ヒトESCは、発生中の胚の胚盤胞期の内部細胞塊から単離されます *1 。iPSCは、ESCと同等または類似する細胞ですが、成体体細胞をリプログラミングするためのOCT3/4、KLF4、SOX2、およびc-MYCなどのリプログラミング因子の発現を経て生成します *2,3 。iPSCは、患者の幹細胞の誘導を簡素化することにより幹細胞研究に革命をもたらしました。これにより、iPSCを使用して、シャーレ中で疾患特異的な細胞タイプのモデルを作製することが可能となりました。これらのモデルは、疾患病態のメカニズムを定義するのに有用で、治療ターゲットの同定や創薬において重要な役割を果たすことができます。機能的な成熟細胞に分化するよう方向付けることが可能なiPSCを無制限に供給できることは、糖尿病、肝疾患、およびパーキンソン病やアルツハイマー病などのさまざまな疾患に対する細胞療法のための原材料として非常に有望視されています。さらに、ヒトiPSC と CRISPR-Cas9 ゲノム編集ツールを併用することにより、疾患遺伝子の同定、ヒト疾患のモデル化、in vitro での再生療法に関する研究戦略実現のための効果的なツールを研究者に提供します。

Gibco多能性幹細胞ハンドブック(英語)が以下から無料でダウンロードいただけます。

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参考文献:
*1. Thomson JA, Itskovitz-Eldor J, Shapiro SS et al. (1998) Embryonic stem cell lines derived from human blastocysts. Science 282(5391):1145–1147.
*2. Takahashi K, Yamanaka S (2006) Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell 126(4):663–676.
*3. Yu J, Vodyanik MA, Smuga-Otto K et al. (2007) Induced pluripotent stem cell lines derived from human somatic cells. Science 318(5858):1917–1920.

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まとめ

・サーモフィッシャーサイエンティフィックは、幹細胞研究ワークフローをカバーするさまざまなツールとリソースを提供しています。
・細胞および分子のキャラクタリゼーションを行うさまざまな方法を用いて、幹細胞およびその誘導体を解析します。
・疾患研究用にドナー iPSC を利用した細胞モデルの作製が可能となりました。

[無料ダウンロード]再生医療研究用製品カタログ

本コンテンツでは、Gibco™ ブランドの細胞培養用培地・試薬、Invitrogen™ ブランドのゲノム編集用ツール、細胞解析用デバイスなど、再生医療研究に役立つ幅広いソリューションをご紹介しています。

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