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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / 【やってみた】1本のチューブで複数の遺伝子を検出するマルチプレックス反応を用いた食肉の判別! リアルタイムPCR講座 第35回

【やってみた】1本のチューブで複数の遺伝子を検出するマルチプレックス反応を用いた食肉の判別! リアルタイムPCR講座 第35回

Written by LATB Staff | Published: 04.19.2016

さて、弊社から新登場したTaqMan® Multiplex Real-Time PCR (qPCR)ですが、単一反応において遺伝子発現解析では最大4ターゲット、ジェノタイピング解析では2ターゲット(2SNP)の検出が可能な製品です。

そこで今回は、新製品の使用例のご紹介ということで、弊社R&Dスタッフサイエンティストの有賀が、Multiplex Real-time PCRを用いて、コロッケやハンバーグなどの加工食品に使われている肉種の判定を行いました。今回のブログではその実験結果をご紹介します!

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  • イントロダクション
  • 方法
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イントロダクション

普段私たちが口にする加工食品にどの様な種類の食肉が使用されているのかを知ることは、食物アレルギーや宗教上の忌避食物の観点からも重要となっています。また、昨今では食肉偽装の問題が繰り返し話題となるなど、加工食品に含まれる肉種への関心は高まりつつあり、肉種の判定にqPCRを用いる方法がいくつか報告されています。

今回は4つの肉種(Mutton, Pork, Chicken, Beef) にそれぞれ対応する4色の蛍光色素を対応させたTaqMan QSY probeとTaqMan Multiplex Master Mixを用いた4-plexのmultiplex qPCRによる検出法を紹介します。

本手法を用いることにより、シンプルな作業で加工食品に含まれる肉種の精度の高い検出・判定を短時間で得ることができました。

方法

田邉ら(2007)の論文※1を参考に4つの肉種(Mutton, Pork, Chicken, Beef)にそれぞれ対応するTaqMan QSY Probeを作成し(図1)、4-plexのmultiplex qPCRに用いる濃度のコンビネーションを検討しました(表1)。次に、multiplex qPCRに最適化されたTaqMan Multiplex Master Mixを用いて4-plexのqPCRを行いました※2(図2)。食品からのgDNA抽出はDNA Extract All Lysis Reagentsを用いてホモジナイズ後のサンプルから調製しました。

表1 アッセイに用いたプローブとプライマーの使用濃度
Mutton Pork Chicken Beef
F-primer 300nM 300nM 600nM 300nM
R-primer 300nM 300nM 600nM 300nM
probe 50nM 50nM 20nM 50nM
qpcr-basic35-fig1

図1 TaqMan QSY probe

qpcr-basic35-fig2

図2 4-plex qPCRの手順

結果

今回の4-plexの実験系において、それぞれのターゲット用アッセイはターゲット以外のサンプルgDNAが1ngずつ含まれる反応で100fg/reactionを検出できました(図3、4)。これは0.01%のターゲット肉種の混入であれば検出が可能である事を示しています。実際の加工食品を用いた検出実験では、各加工食品で期待される食肉種が使用されている(いない)ことが示されました(図5)。

また、Fast PCR modeを利用することにより、gDNAの簡易抽出作業開始から1時間以内にqPCRの結果を得ることができ、本法の検査現場での迅速性と簡易性を示すことができました。

qpcr-basic35-fig3

図3 4アッセイのパフォーマンス。ターゲットサンプルのgDNAのみの希釈系列を使用したそれぞれのアッセイの増幅曲線。

qpcr-basic35-fig4

図4 4アッセイのパフォーマンス。図3の系にターゲット以外のサンプルのgDNAをそれぞれ1ng/reaction混合した反応系の各増幅曲線。

図4 加工食品からの肉種判定。a.ビーフコロッケ、b.ポテトコロッケ、c. ハンバーグ(牛豚合い挽き)の増幅曲線を示す。ビーフコロッケではbeefアッセイのみがpositiveとなり、ポテトコロッケでは全ての食肉用アッセイはnegativeであった。また、ハンバーグではbeefとporkがpositiveとなった。ハンバーグで示されたChickenのpositiveは、鶏卵がつなぎとして使用されていることが原因と考えられます。また、牛豚の合い挽きのおおよその比率推測の可能性が示唆されました。

図4 加工食品からの肉種判定。a.ビーフコロッケ、b.ポテトコロッケ、c. ハンバーグ(牛豚合い挽き)の増幅曲線を示す。ビーフコロッケではbeefアッセイのみがpositiveとなり、ポテトコロッケでは全ての食肉用アッセイはnegativeであった。また、ハンバーグではbeefとporkがpositiveとなった。ハンバーグで示されたChickenのpositiveは、鶏卵がつなぎとして使用されていることが原因と考えられます。また、牛豚の合い挽きのおおよその比率推測の可能性が示唆されました。

脚注

※1 Tanabe et al., A Real-Time Quantitative PCR Detection Method for Pork, Chicken, Beef, Mutton, Horseflesh in Foods. Biosci. Biotechnol. Biochem., 2007, 71(12), 3131-3135
※2 TaqMan Multiplex Master Mixはpassive referenceとしてROXの代わりにMustang Purpleを含むため、5色以上の蛍光フィルタを装備する7500, 7500Fast, ViiA 7, QuantStudio 6/7/12Kの使用が適しています。

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