略語表
iStopMM | Iceland Screens, Treats or Prevents Multiple Myeloma |
MGUS | 意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance) |
SMM | くすぶり型多発性骨髄腫(smouldering multiple myeloma) |
Introduction
iStopMM(Iceland Screens, Treats or Prevents Multiple Myeloma)は、多発性骨髄腫発症の徴候を調査するために前向き研究として実施された対策型検診で、特に意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症 (Monoclonal gammopathy of undetermined significance, MGUS)1の最適な診断方法とその後のフォローアップに関するエビデンスを提供することを目的としています。
多発性骨髄腫は形質細胞の悪性腫瘍ですが、その発症に先立って、常にMGUSとくすぶり型多発性骨髄腫(Smouldering multiple myeloma, SMM)が発症します。
MGUSは「意義不明」の単クローン性ガンマグロブリン血症と呼ばれていますが、多発性骨髄腫の前段階であるこの状態は、平均余命と関連しています。これらの患者さんは多発性骨髄腫に進行するリスクがあり、進行率は1年で約1%(100人に1人)1です。多発性骨髄腫への進行に加え、MGUSの患者さんは感染症、骨粗鬆症、骨折、腎臓病、心臓病、血栓症のリスクが高く2,3、死亡のリスクが高まります。
ただし、まずMGUSと診断され、その後多発性骨髄腫に進行した患者さんの方が、初めから多発性骨髄腫と診断された患者さんと比べて予後が良好であることが示唆されています。なぜなら、事前にMGUSと判明していたことで、より高い頻度で経過観察を行うことができ、その結果、 多発性骨髄腫に進行した場合により早い診断と介入が可能となるからです4,5。しかしながら、MGUSは通常、無症候性であり、他の無関係な病気について検査を受けているときに偶然判明することが多いです。
なぜ重要なのか
40歳以上のアイスランド人全員にiStopMM試験への参加を呼びかけ、2016年9月に試験を開始しました。約80,000人がこの研究に参加することに同意し、40歳以上のアイスランド人口の約50%が参加しました。この過程で血液サンプルが採取され、形質細胞のクローン性増殖によって産生される単クローン性タンパク質について検査が行われました。
当社はこの研究の共同研究者であり、約8万件のサンプルが英国バーミンガムの研究所に送られ、そこで血清学的手法を用いて単クローン性タンパク質のスクリーニングが行われました1,a,b。
iStopMM試験を通してMGUSと同定された場合は、追跡調査の適格者として、異なる3種類のフォローアップ戦略をもつ群に無作為に振り分けられます。本試験ではMGUSの患者さんとして3,487人が同定され、年齢、性別、および単クローン性タンパク質の平均濃度などの患者特性を考慮して3つの群に無作為かつ均等に振り分けられました。
収集されたデータは、MGUSと診断された患者さんに対する最良のフォローアップ方法を示すとともに、患者さんが前癌状態であることを認知する心理的負担についても言及します6。
また、本研究では、スクリーニングによりMGUSと同定された患者さんに対して、病態進行のリスクが最も高い患者さんの同定や早期介入の許可の手助け、あるいは必要であれば治療成果の改善といった目的のために綿密なモニタリングを行うことの潜在的な利点についても検証します7,d,e。
総じて、iStopMM試験は、MGUSの有病率と自然経過、および対策型検診と早期介入の潜在的な利点に関する重要な洞察を提供します。しかし、MGUSの患者さんに対する最適なスクリーニング戦略と介入方法を決定するためには、さらなる研究が必要です1,f,g。
お問い合わせについて
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MGUS | 意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance) |
SMM | くすぶり型多発性骨髄腫(smouldering multiple myeloma) |