炭素について話してみましょう。炭素は、他の炭素原子、炭素、および水素と鎖を形成する能力のために、他の任意の元素よりも多くの化合物を形成するので、「元素の王様」という名称を獲得しています。
炭素はすべての生物に存在します。地球の炭素循環では、二酸化炭素は、光合成などの生物学的、化学的、および物理的プロセスを通して大気から自然に捕捉され、次いで、呼気、分解、または燃焼を通して放出されます。炭素を吸収する植生の喪失や人間のエネルギー消費の加速を含む環境の変化は、この循環を脅かす不均衡を生み出し、地球温暖化の主要な影響因子として認識されています。
炭素の排出をなくすとともに、大気中の炭素を除去する取り組みも進められています。
これらの取り組みは、炭素廃棄物を発生源から捕捉し、深部塩水帯水層やガス田・油田跡地などの地下地層の貯蔵場所に運ぶことに重点を置いています。しかしながら、これらの隔離方法は、炭素を隔離するために電力を必要とし、また炭素が潜在的に漏洩する可能性があるため、コストがかかり、論争の的となります。
これらの技術はすべて、炭素廃棄物ベースの材料のコストを増大させてしまいます。 carbon-to-value (C2V)と呼ばれる新しい産業セクターは、「廃棄物炭素」を環境や気候変動に有益な方法で、捕捉、輸送、および変換することで、一連の価値のある製品およびサービスを生み出すことを試みています。起業家は、燃料、建材、プラスチック、蒸留酒のような高付加価値市場への参入を目指しています。Carbon180では、カーボンテクノロジーに関する経済的機会は非常に大きいと報告されています。C2V製品が潜在的に参入することのできる市場は、世界的に年間5兆9100億ドルと算出されています。これには、カーボンテクノロジー材料またはその変換プロセスにおいて実現することが可能な製品からのすべての収益が含まれます。
CO2吸収のプロセスを理解し、改善するための研究が進行中です。というのもC2V産業が発展し新しい技術が開発されるにつれて、CO2プロセスを効率的かつ周期的に監視する方法が必要となるからです。CO2軽減のために一般的に使用される技術には、水性アミン系溶媒が使用され、これはCO2を吸収し、次いで加熱時に放出します。しかしながら、水性アミン系溶媒は高い熱要件および腐食感受性を持つために、科学者らは現在、非水性アミンをより良い代替物として見ています。第一級および第二級アミン溶媒は、CO2と反応してカルバメートを形成し、次いで、これは加水分解されて重炭酸塩を形成し、最終的には新しい材料を作り出すために使用されます。
C2Vのための理想的な方法および材料を発見するための新しい研究が進行中であり、その多くは厳密な化学分析を必要とします。
化学分析のための多くの分析技術のうち、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)は、アミンなどの官能基の効率的な化学分析を提供します。分析者は全反射測定法(ATR法)アクセサリを使用して、液体または固体材料サンプルをATRアクセサリ上に配置するだけで、材料の化学組成を表すスペクトルを迅速に取得できます。
サンプルがほぼ同一の構造を有する場合、Thermo Scientific™ TQ Analyst™ ソフトウエアなどの高度なケモメトリックソフトウエアは、微小な差異を決定するための部分的最小二乗回帰(PLS回帰)技術を提供します。
C2Vイニシアチブのリーディング企業:Rocoの研究者達は、化学的に類似した各化合物のCO2取り込みを予測するために、非水性アミンを評価することが必要となりました。同社は、ATRを装着したFT-IRが、NMRおよび重量測定などの以前に使用された分析技術と比較して、アミン溶液を研究するための便利で費用効果の高い方法であるとの結論に至りました。TQ Analystソフトウエアを用いて定量モデルを開発しました。
同社は最近の研究で、「FT-IRによる測定およびPLSによる予測によって少量のサンプルのみで、化学的な特定をたった数分で実行することができる。したがってFT-IRによるメソッドは、工業的利用において特に有益である。」と結論づけています。
本研究から、当技術は構造的に類似している化合物の定量モデルを作製するためのもっとも時間効率の高いサンプリング法であると言うことができます。
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