免疫組織化学(IHC)という用語は、一般に免疫細胞化学(ICC)と特に区別せずに使用されますが、IHCとICCは、それぞれの分析対象の生物学的サンプルの性質が大きく異なります。

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サンプル供給源

IHCに使用される組織は、患者または動物から摘出された後、凍結保存、または固定後にパラフィンに包埋されます。凍結組織またはパラフィン包埋組織から薄さ4 μmの切片をスライスし、抗体ベースの染色用にスライド上にマウントします。右下の図が示すように、元の組織構造を維持した状態で、細胞成分の局在を観察することが可能になります。

ICCにおいては、ほとんどの細胞外マトリックスと間質成分類が除去され(多少除去されずに残余することもあります)、染色対象の細胞のみが残ります(以下の左図参照)。ICCは、細胞の懸濁液をサンプルとするこが可能です[患者や動物由来の細胞(例:血液塗抹標本、スワブ、吸引液)、または組織培養細胞]。

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免疫細胞化学(ICC)と免疫組織化学(IHC)による各染色の比較。 A549ヒト腺癌細胞(上左図;ICC)およびヒト結腸癌組織切片(右図;IHC)について、間接検出によってプロテインホスファターゼ2A (PP2A)を固定化および染色しました。検出には、抗PP2A一次抗体を標的する、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗マウス二次抗体を用いています。 Pierce Metal-Enhanced DABを用いて、染色を行いましました。

対象製品

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サンプルの処理

IHCとICCは、使用する生物サンプルのタイプだけではなく、抗原抗体反応を利用した染色に伴うサンプルの処理工程も異なります。ICCでは、細胞内の標的に抗体が到達できるように、固定化処理または細胞膜透過処理によって、細胞が透過性を持つように処理する必要があります。切片の厚さや固定化法のタイプにもよりますが、IHCサンプルでは透過処理を施す必要が無い場合もあります。抗体染色を行う前に、IHC用のパラフィン包埋切片サンプルは、追加の処理を施す必要があります。この処理により抗体が標的エピトープを認識できるようになります。

サンプル処理後の抗体染色プロトコールについては、IHCとICCの間でほとんど違いはありません。ただし抗体ベースの染色法では、使用する抗体ごとに最適条件の検討を行う必要があります。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.