統計
どういった疾患なのか
骨髄で形質細胞の単一クローンが異常に増殖すると、単クローン性のタンパク質が大量に産生される場合があります。これらの単クローン性タンパク質は、M蛋白またはパラプロテインとも呼ばれますが、それらの実体は単クローン性の免疫グロブリン(ガンマグロブリン)や遊離L鎖※であることが多いです。
※遊離L鎖は遊離軽鎖、あるいはフリーライトチェーン、FLCとも呼ばれます
多発性骨髄腫は、脊椎、頭蓋骨、骨盤、肋骨など、身体のさまざまな骨領域に影響を及ぼす可能性がありますb。多発性骨髄腫の症状は、骨髄腫細胞の増殖(および骨構造や骨髄微小環境への影響)と、単クローン性タンパク質が他の臓器に及ぼす影響によって引き起こされ、骨折、腎障害、貧血、免疫機能の低下につながる恐れがありますc,d。
臨床的徴候
形質細胞の増殖異常に起因すると考えられる末端臓器障害の症状は、多発性骨髄腫の診断基準のひとつです。この症状群は、それぞれの症状の頭文字をとってCRABという略語で表記されます。
以前は、末端臓器障害の発症を契機として多発性骨髄腫の診断がされることが多かったため、診断の時点で患者さんの病状が悪化してしまっていました。そこで、末端臓器障害が発生する前に適切な処置を行うために、病態進行リスクが高く短期間で発症に至る患者さんを示すバイオマーカーが特定されました。これらの悪性腫瘍のバイオマーカーはSLiM基準と呼ばれています3。
CRAB基準とSLiM基準を合わせて骨髄腫診断事象(Myeloma Defining Events, MDE)と呼びます。MDEが1つ以上認められ、単クローン性形質細胞が10%以上存在する(または生検により骨髄形質細胞腫、髄外形質細胞腫が証明された)場合に多発性骨髄腫と診断されます。
概要
遊離L鎖は遊離軽鎖、フリーライトチェーン、FLC(free light chain)とも呼ばれるタンパク質で、抗体(免疫グロブリン)の産生を担う形質細胞によって産生されます。
抗体は重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)から構成されています。H鎖とL鎖は別々に産生された後、形質細胞内で結合してインタクトな(完全分子型の)免疫グロブリンを形成します。
L鎖は過剰に産生されるため、血清中に遊離タンパク質としても存在します。これが血清遊離L鎖と呼ばれる所以です。
遊離L鎖は、腫瘍組織量に比例した濃度で検出されることが多いため、多発性骨髄腫のような血液がんに典型的な形質細胞の異常増殖を評価するための優れたバイオマーカーです。
検査について
FREELITEは、κ型およびλ型の遊離L鎖、それぞれを標的とするポリクローナル抗体が基になっています。アフィニティ精製したポリクローナル抗体でコーティングされたラテックス粒子を用いることで、感度と特異性の高さを実現しています。
血清サンプルに対してアッセイを行うことで、以下のような単クローン性ガンマグロブリン血症の診断補助にお役立ていただけます:
ガイドラインに準拠した検査:FREELITE
分析感度
FREELITEは、血清タンパク電気泳動法(Serum protein electrophoresis, SPEP)のような従来の方法では定量できない微量のL鎖であっても検出が可能です9。血清や尿の免疫固定法(Immunofixation electrophoresis, IFE)では検出できないような遊離L鎖も検出することができます。
FREELITEでは、L鎖のκ型とλ型をそれぞれ測定し、その比を算出することで、FLCの値や比が基準範囲内なのか、あるいはそれよりも高値なのか、低値なのかを測定することができます。そのため、κ型とλ型のどちらが腫瘍に関与していても、異常を検出することが可能です。
FREELITEは uIFE と比較して10倍高い感度を示すことができます10