Oncomine™ Breast cfDNA Research Assay v2

Oncomine Breast cfDNA アッセイ v2 は、セルフリー DNA（cfDNA）中に存在する乳がん由来 DNA（ctDNA）を検出できるトータルソリューションの一部です。10 mL チューブ一本分の全血の血漿画分から、cfDNA アンプリコンライブラリを調製するための1プールのマルチプレックス PCR プライマーセットと、ライブラリ調製のための試薬類を提供します。

液体生検（リキッドバイオプシー）には、従来の固形腫瘍生検にはない利点が幾つかあります：
• 非侵襲的なので、がんの進行度をモニタリングするための複数タイムポイントによる検体採取が可能
• 抵コスト
• サンプルから結果までの時間がより短い
• 腫瘍の不均一性（heterogeneity）をより良好に提示

Oncomine Breast cfDNA アッセイ v2 は、以下の解析を可能にします：
• ホットスポット遺伝子：AKT1、EGFR、ERBB2、ERBB3、ESR1、FBXW7、KRAS、PIK3CA、SF3B1、TP53（約 152 ホットスポットをカバー）
• コピーナンバー遺伝子（CNV）：CCND1、ERBB2、FGFR1
• 完全長遺伝子：TP53（約 80％ カバレージ）

これらは乳がんにおいてしばしば変異する遺伝子として同定されています。タグシーケンス技術を活用することで、異なるバリアントタイプにおいてそれぞれの検出下限（LOD）を達成しています*
• SNV/short indels では、約 80％ の感度および >99％ の特異度で 0.1％ の LOD を達成
• TP53 変異の検出では、0.5％ の LOD を達成
• ERBB2 および FGFR1 CNV ターゲットでは 1.2 倍の増幅の検出を、CCND1 CNV ターゲットでは 1.4 倍の増幅の検出を、>90％ の感度および >99％ の特異度で達成

MagMAX Cell-Free DNA Isolation Kit（Cat. No. A29319）を使うと、cfDNA の分離から分析までの全体のワークフロー（下図）は、Ion S5 XL シーケンシングシステムを使用して 2 日間で完了します。

技術
血液の血漿画分に含まれる cfDNA（ctDNA）は極めて微量です。そのため、本アッセイではタグシーケンシング技術を使用しています。本技術では、遺伝子特異的プライマーにユニークな分子タグを付加します（下図）。増幅後、そのタグに基づいて分子をグループ分けします。同じ変異体またはバリアントを80％以上含むグループは陽性と判断されます。タグ技術を使用することで、ライブラリ調製およびシーケンシングの過程で生じるランダムエラーを含むグループは除外されます。

LOD が 1‐5％ である他の技術とは異なり、Oncomine Breast cfDNA アッセイ v2 の検出限界は柔軟であり、SNV では 0.1％、つまりワイルドタイプ 1000 コピー中の 1 変異コピーを検出できます。0.1％ の LOD を達成するためには、インプット量として 20 ng の cfDNA が必要です。より少ない量でも可能ですが、％LOD の値はインプット量に依存して高くなります（下図）。

利点：
• 短いcfDNAに最適化されたアンプリコンデザインにより、高い補足効率を保証
• 高度マルチプレックス次世代シーケンシング（NGS）用に最適化されたターゲットアッセイにより、サンプルあたりのシーケンシングコストを削減
• 効率の良い 2 日間のワークフロー

Torrent Suite Software 5.2 またはそれ以上のバージョンを使用することで、SNVs および short indels の分析が可能になります。SNV、short indels、そして CNVs を分析するためには、Ion Reporter 5.6（クラウドまたはサーバーベース）が必要です。

タグシーケンス技術の簡便性、迅速性、スケーラビリティ
Oncomine Breast cfDNA アッセイ v2 は、わずか 1 ng のインプット cfDNA で、ターゲットライブラリを調製でき、がん遺伝子研究を行えます。この cfDNA アッセイは、ユニークな分子タグによる標識とライブラリ増幅という簡単な 2 つの PCR 反応を標準的な PCR 装置で行い、高度マルチプレックスな PCR ベースのターゲットセレクションを実現します。Oncomine Breast cfDNA アッセイ v2 は、FFPE サンプルデモしようでき、それらの一致率の検証にも使用できます。ターゲットライブラリの構築は、3.5 時間で完了します。Ion S5 Chip におけるサンプルのバーコードマルチプレックス化用の Tag Sequencing Barcode Set 1-24 または 25-48（Cat. No. A31830, A31847）を使用することで、アッセイのスケーラビリティと柔軟性を高めることができます。

*各バリアントタイプの感度と特異度は、人為作成した陽性サンプルと健常者の cfDNA を使用して決定しました。