超高分解能顕微鏡で細胞の超微細構造を可視化

透過型電子顕微鏡により、細胞や細胞内小器官、生体高分子の内部構造を可視化でき、それらの構築や機能に関する理解を深めることが可能になります。 超微細構造解析や形態学的研究に取り組むライフサイエンス分野の研究者にとって重要な技術であり、細胞および組織構造における疾患関連の変化を探索する病理医にも有用です。

 

Thermo Scientific Talos 12 TEMは、大型試料の操作を容易にし、観察対象領域の特定や、複数タイルセットの無人一括取得を簡単に設定できるため、細胞内小器官や構造を高分解能かつマルチスケールでイメージングできます。 全体像を把握しながら、試料を容易かつ直感的に操作できます。初めてのユーザーでも快適に使用できます。


Talos 12 TEMによるナノスケールイメージングで広がる可能性

筋肉からマクロファージまで、樹脂包埋組織を高分解能でイメージングすることにより、生物学のあらゆる分野で超微細構造観察が可能になります。

さまざまな倍率で観察した樹脂包埋組織のTEM画像

病理イメージングシステムとしてのTalos 12 TEM

Talos 12 TEMは、ウイルスや微生物感染、臓器異常、がんなどに伴う細胞および組織の病変を捉えるために必要な構造の詳細情報と全体像を、鮮明で高コントラストなマルチスケール画像で提供します。効率化されたワークフローにより、腎病理、神経筋病理、末梢性ニューロパチーなどを対象とする顕微鏡観察において、より短時間で結果を得ることが可能です。 また、これらのワークフローにより、1台の装置を複数のユーザーで共有できるようになり、初心者でも容易にデータ取得を行えるとともに、経験豊富なユーザーには高度な操作機能を提供します。

 

腎病理におけるワークフローの例: 糸球体基底膜(GBM)検査。画像提供:腎病理部門 米国Brigham and Women’s Hospital,

Talos 12 TEMの高度なアプリケーションで広がる細胞・組織イメージング

光電子相関顕微鏡法

複数のイメージング技術を組み合わせることで、より多くの情報が得られます。 光電子相関顕微鏡法(CLEM)とは、光学顕微鏡法と電子顕微鏡法が持つ強みを合わせた手法です。 光学顕微鏡は、特定のタンパク質や構造体を蛍光マーカーで標識できる一方、電子顕微鏡は細胞の超微細構造をナノメートルスケールまで高解像度で詳細に観察できます。 

 

Talos 12 TEMを用いたCLEMは、Thermo Scientific Maps 3ソフトウエアにより効率化され、生体試料への理解をより深めることができます。

光電子相関顕微鏡法向けMaps 3ソフトウエア

3D空間の関係解析に適したトモグラフィー

トモグラフィーによる3D可視化では、細胞構造や巨大分子複合体の構造配置について、ナノメートル分解能で詳細な情報を提供します。 細胞小器官、ウイルス粒子、タンパク質複合体など、細胞成分の空間的な関係について、詳細な構造情報を得ることができます。

 

Talos 12 TEMによるトモグラフィーは、Thermo Scientific Tomography 5ソフトウエアと、Thermo Scientific Amiraソフトウエアに搭載されたAIディープラーニングベースのセグメンテーションによって実現しています。

樹脂包埋した肺組織切片における繊毛の3Dトモグラフィー

組成把握のためのEDS元素分析

エネルギー分散型X線分光法を追加することで、細胞構造、組織、生体鉱物に含まれる元素の分布を解析できます。

 

Thermo Scientific Veloxソフトウエアにより、EDS元素分析は迅速な表面スキャンから個々の原子レベルの解析まで幅広く活用できます。 EDSは材料科学や地球科学の研究者に広く利用されているため、複数学科で共有される Multi-User Facility(MUF)環境 において、Talos 12 TEMに有用な拡張機能となります。 EDS解析は、Maps 3ソフトウエアによる広域タイルセットや、Tomography 5ソフトウエアを用いた3D解析へと拡張できます。

マグネトスピリルムグリフィスワルデンスのEDS解析。試料提供:University of Bayreuth、Dirk Schüler教授


Talos 12 TEMによる構造生物学

構造生物学は、生体高分子の構造を解析し、それらの機能理解を深めることを目的とする分野です。 TEMはこの分野の研究者にとって重要な技術であり、さまざまな手法を利用できます。 

 

Talos 12 TEMは、タンパク質複合体や細胞構造をネガティブ染色イメージングまたはクライオ条件下で可視化するための、取り組みやすいアプローチを研究者に提供します。 さらにTalos 12 TEMは、単粒子解析に向けた試料調製工程の最適化にも活用でき、高解像度3Dタンパク質構造決定までの時間を短縮できます。

2Dイメージングを容易かつ効率的に行うネガティブ染色イメージング

ネガティブ染色イメージングは、タンパク質を2Dで観察する際に構造生物学者が用いる、シンプルで効率的なTEM手法です。

ネガティブ染色イメージングでは、ナノ粒子、タンパク質複合体、ウイルス、細菌、細胞成分を高コントラストで観察できます。

 

このシンプルで効率的な手法は、生体試料の構造や機能の研究に必要な明瞭な画像を提供します。

異なる倍率で撮像したバクテリオファージのネガティブ染色イメージ

単粒子解析用cryo-EM試料調製の最適化

cryo-EMは、試料を急速凍結することで固定や染色を行わずに自然な構造を保持できる電子顕微鏡法です。 単粒子解析は、タンパク質や複合体などの高分子の3D構造を高解像度で決定するために用いられるcryo-EM手法です。 この開発により、結晶化せずX線結晶構造解析では扱えないリボソームやプロテアソームをはじめ、膜タンパク質、ウイルス、ナノ粒子などの複合体の3D解析が可能になりました。

 

最適な単粒子解析データを取得する上で、適切な試料調製は極めて重要です。 適切に調製された試料は、本来の構造を保持し、アーチファクトを最小限に抑え、さまざまな向きを含む均質で均一に分散した試料を提供します。これらは正確で高解像度な3D再構成に不可欠です。

 

Talos 12 TEMは、ネガティブ染色イメージングまたはクライオ条件下で、精製試料の安定性、均質性、濃度を迅速に評価できるよう設計されています。 氷厚、粒子密度、気液界面アーチファクト、粒子の特定方向への配向などを調整できます。 試料条件を最適化することで、Talos 12 TEM本体またはより高電圧のcryo-TEMを用いて実施されるその後の単粒子解析データ収集において、より良い結果が得られ、構造決定までの時間も短縮されます。

高分解能データの取得と結果までの時間短縮を実現するには、単粒子解析データ収集に適した試料に関するさまざまな要素を考慮することが重要です。 上段のパネルでは、粒子の分布、気液界面、タンパク質の凝集、氷の厚みといった検討すべき領域を示しています。 下段のパネルでは、(A)FOM、(B)DM、(C)Tween 20、(D)CTAB、(E)OG、(F)CHAPSを用いた界面活性剤スクリーニングの結果を示しており、 (F)が単粒子解析データ収集に最適な条件を提供しています。

単粒子解析データの収集

Talos 12 TEMは、Thermo Scientific EPUソフトウエアを用いた単粒子解析データの自動収集機能を備えています。 本装置に搭載されたThermo Scientific Cetaカメラは、単粒子解析で用いられる低線量条件に合わせて最適化されており、Talos 12 TEMはタンパク質複合体の3D構造をおよそ6 Åまで容易に分解能として得ることができます。 この分解能では、個々のタンパク質サブユニットを、その配置や相互作用とあわせて把握できます。 オプションのThermo Scientific Falcon C Direct Electron Detectorを組み合わせることで、これらの機能がさらに拡張され、さまざまな標的タンパク質に対応する単粒子解析ソリューションとして活用できます。

単粒子解析の例。左:6.8 Åの分解能で取得したAAV-2カプシド。右:5.7 Åの分解能で取得したアポフェリチン


細胞構造およびナノ粒子の3Dイメージング

Talos 12 TEMは、統合されたワークフローを用いた自動チルトシリーズ取得を可能にするTomography 5ソフトウエアを搭載できます。 検索マップ取得により、中倍率を用いてグリッド全体をマッピングでき、データ収集のスループット向上と操作精度の改善が実現します。 その後、複数の関心領域を特定し、トモグラフィー用3Dデータの自動マルチサイト一括取得に利用できます。 

 

軸外マルチショット取得により、スループットが大幅に向上します。 この機能により、1つのフォーカスおよびトラッキング領域で複数のトモグラム位置を取得でき、データ取得プロセスの効率化と効率向上につながります。 線量対称の取得方式により、高分解能サブトモグラム平均化に適した電子線量分布が得られます。

Amiraソフトウエアを用いたAIベースのセグメンテーションにより、プロテオリポソーム構造の微細な特徴が明らかになります。 試料提供:Sara García-Linares博士、Alvaro Martínez-del-Pozo博士(スペイン・マドリードComplutense University、およびJaime Martín-Benito Romero博士(スペインCNB-CSIC)

cryo-EMによる脂質ナノ粒子の特性評価

ドラッグデリバリーシステムの最適化

ナノ粒子を用いたドラッグデリバリーシステムは、遺伝子治療ベクターの創薬開発において強力な手法として注目されています。 これらの中でも、脂質ナノ粒子(LNP)は、高い表面積、サイズ調整の容易さ、治療用物質を包埋して送達できる能力といった特性により、特に注目されています。 米国食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁などの規制当局は、ナノ粒子製剤およびウイルスベクター製剤の有効性と品質を担保するため、主要な形態学的特徴の解析を重視しています。

 

Talos 12 TEMは、正確なサイズと形状、RNAの封入効率および分布の評価、バッチ間の一貫性に加え、ナノ構造の洞察やプロセス最適化など、重要品質特性(CQA)の解析に必要なデータを提供します。

 

cryo-EMはLNP解析でもっとも広く用いられている手法で、高い精度に加え、サイズ、形状、層数、2D/3D形態の直接観察、さらには内容物や製剤条件に左右されず、ネイティブに近い状態で表面特性を高分解能で評価できる点に優れています。

ドラッグデリバリーベクターのCQA解析

CQA評価で統計的に有意な結果を得るには、多数の粒子を含む大規模データセットの解析が必要です。

 

高スループットのナノ粒子イメージング向けに最適化されたTalos 12 TEMと、AIを活用した半自動画像処理を実現するAmira 3Dソフトウエアを組み合わせることで、迅速かつ高精度で再現性の高いLNP特性評価を可能にする効率的なワークフローが確立します。

ドラッグデリバリーベクターにおける、粒子の形状や直径などのCQA解析

LNPおよびAAV特性評価の半自動化

EPUソフトウエアを搭載したTalos 12 TEMによる高スループットのデータ取得と、Amira 3DソフトウエアでのAIベースの画像解析を組み合わせることで、画像解析ワークフローを自動化でき、ナノ粒子特性評価の精度と効率を向上させることができます。 LNPおよびAAV解析向けに最適化されたワークフローにより、詳細な情報が得られ、従来の手法に伴う時間的な負担やヒューマンエラーを低減できます。

 

Amira 3Dソフトウエアは、形状、サイズ、形態といった基本的な指標に加え、カスタマイズ可能なスクリプトを用いることで、幅広いCQA解析に対応できます。 具体的な研究ニーズに応じて解析内容を柔軟に最適化でき、LNPを包括的かつ精密に評価できます。 Amira 3Dソフトウエアは、粒子分布や表面特性、内部構造の評価などの幅広い解析に対応でき、ナノ粒子研究の分野において強力かつ多用途に活用できるツールとして高く評価されています。

LNPのcryo-TEM画像は、前述のワークフローで解析しました。 600個以上のLNPを対象に、粒子形状(伸長度)、表面積、直径を算出しました。 AIセグメンテーションモデルの生成を含む解析全体のプロセスは、約1時間で完了しました。
AAVのcryo-TEM画像は、前述のワークフローで解析しました 300個以上のAAVを対象に、粒子形状(伸長度)、直径、充填粒子と空粒子の数を算出しました。 AIセグメンテーションモデルの生成を含む解析全体のプロセスは、約12時間で完了しました。

Webセミナー:新製品Talos 12 TEMのご紹介

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