プールされた細胞集団の切断効率を明らかにした後、単一細胞クローンを単離してさらなる検証およびバンキングを行います。96 ウェルプレートでの限界希釈クローニング(LDC)またはフローサイトメーターを使用したシングルセルソーティングにより、選択されたプールから単一細胞クローンを単離することができます。

限界希釈クローニング(LDC)

  • 編集効率と推定細胞生存率に基づいて、目的のノックアウト(KO)クローン細胞株を得るために必要な単一クローンの数を推定することができます。

    例えば、遺伝子の両コピーに突然変異を有するホモ接合 KO を希望する場合、その結果得られる GeneArt cleavage detection 効率が 50% であれば、いずれの細胞でも両方のアレルをノックアウトにする確率は 25% となります(0.5 × 0.5 = 0.25) 。

    フレームシフトにつながるインデルの確率が 2/3 である場合、ホモ接合KOを有する可能性は、細胞あたり約 11%[(0.5 × 0.5)×(0.66 × 0.66)= 0.11]です。
  • 0.8 細胞/ウェルとして限界希釈を行うことを推奨しますが、これには、完全な増殖培地中に 8 細胞/mL の密度でトランスフェクションされた細胞(後計数)を再懸濁し、次いでこのうち 100 μL を 96 ウェルプレートの各ウェルに移すことが必要になります。

    20% の細胞が生存すると予測した場合、少なくとも 10 枚の 96 ウェルプレートに播種すると192個の生存細胞にホモ接合型 KO クローンが存在する確率は 19 ~ 21 細胞(192 × 11%)となります。
  • 単一細胞クローンの生存性は細胞種によって変わることに注意してください。単一細胞での培養に適さない細胞のいくつかは、低密度で播種してコロニーを十分に分離させた後、手動で選別してさらにスクリーニングする必要があります。
     

293FT 細胞を用いた LDC 手順の例

  1. 24 ウェルプレートの各ウェル中のトランスフェクションした細胞を、PBS 500 μL で洗浄します。慎重に PBS を吸引し、廃棄する。
  2. TrypLE 細胞解離試薬 500 μL を細胞に添加し、37 °C で 2 ~ 5 分間インキュベートします。
  3. 完全増殖培地 500 μL を細胞に添加して、解離試薬を中和します。細胞を数回上下にピペット操作して細胞凝集体を分散させます。細胞が十分互いに離され、一緒に凝集していないことを確認してください。
  4. 細胞を 300 × g で 5 分間遠心分離してペレットにします。
  5. 上清を吸引し、予熱(37 °C)された適切な容量の増殖培地に細胞を再懸濁し、次に細胞数を計測します。
  6. 計測後、完全増殖培地が 8 細胞/mL の密度になるまで細胞を希釈してください。この細胞密度で合計 50 mL の細胞懸濁液を調製し、無菌リザーバーに移します。
    注:段階希釈を行うことにより、細胞密度をより良好に推定することもできます。
  7. マルチチャンネルピペッターを使用し、目的の枚数のプレートが播種されるまで、96 ウェル組織培養プレートの各ウェルに細胞懸濁液 100 μL を分注してください。プレートに播種する間、必ず細胞を混合させて、細胞凝集体の形成を防止します。
    注:通常、弊社では、10 枚の 96 ウェルプレートに播種して多数のクローンが得られています。播種するプレートの数は、プールされた細胞集団の編集効率および単一細胞単離後の細胞の生存率によります。
  8. プレートを 37 °C、5%CO2 インキュベーター内でインキュベートします。
  9. 倍率 4 倍の顕微鏡下で細胞の小凝集体を確認(細胞株の増殖速度によりますが、通常は第 1 週後に)したら、すぐに、単一細胞コロニーのプレートをスキャンしてください。
  10. プレートのインキュベーションをさらに 2 ~ 3 週間継続してクローン集団を増殖させ、さらに解析を行い、特徴を明らかにします。
     

フローサイトメーターを用いた 96 ウェルプレート内のシングルセルソーティング手順の例

シングルセルソーティングの機能を有するフローサイトメーターを用いて、ウェルあたり一つの細胞を96ウェルプレートフォーマットに入れることができます。単一細胞クローンを選別かつ増殖させた後、適切なアッセイを用いてクローン集団を分析し、特徴を明らかにします。以下は、293FT 細胞を用いたシングルセルソーティング手順の例です。

  1. 24 ウェルプレートの各ウェル中のトランスフェクションした 293FT 細胞を、PBS 500 μL で洗浄します。慎重に PBS を吸引し、廃棄する。
  2. TrypLE 細胞解離試薬 500 μL を細胞に添加し、37 °C で 2 ~ 5 分間インキュベートします。
  3. 完全増殖培地 500 μL を細胞に添加して、解離試薬を中和します。細胞を数回上下にピペット操作して細胞凝集体を分散させます。細胞が十分互いに離され、凝集していないことを確認してください。
  4. 細胞を 300 × g で 5 分間遠心分離してペレットにします。
  5. 上清を吸引し、細胞ペレットを PBS 500 μL で 1 回洗浄してください。
  6. 1×106 個の細胞を FACS 緩衝液 1 mL に再懸濁し、ヨウ化プロピジウム(PI)を加え、最終濃度を 1 μg/mL とします。再懸濁した細胞を氷上に静置します。
  7. シングルセルソーティング機能を有するフローサイトメーターで細胞を分析する前に、適切なフィルターを用いて細胞を濾過してください。
  8. PI ネガティブ細胞を選別し、完全増殖培地 100 μL を含む 96 ウェルプレートに入れます。必要に応じて、完全増殖培地と一緒に濃度 1 倍の抗生物質を使用できます。
  9. プレートを37°C、5%CO2 インキュベーター内でインキュベートします。
  10. 倍率 4 倍の微鏡下で細胞の小凝集体を確認したら、すぐに単細胞コロニーのプレートをスキャンしてください。コロニーは、7 ~ 14 日後(細胞株の増殖速度によりますが、通常は第 1 週後に)に肉眼で見ることができるくらいの大きさでなければなりません。画像解析を行えば、コロニーが単一細胞由来であることを確認できます。
  11. 画像解析の後、プレートのインキュベーションをさらに 2 ~ 3 週間継続してクローン集団を増殖させ、さらに解析を行い、特徴を明らかにします。
     

編集されたクローンの特徴づけ

ジェノタイピング PCR、qPCR、次世代シーケンシング、ウェスタンブロッティングなどさまざまな分子生物学的方法によリ、純度および目的のジェノタイプ(ホモ接合アレルまたはヘテロ接合アレル)について単一細胞クローンを分析することができます。