本ページのアレルゲンは、日本では体外診断用医薬品として承認されていないものを含みます
多くの種類の昆虫がアレルギーを引き起こす原因となりえますが、世界的にみてもっとも一般的な種類は、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチ、ヒアリ*です1。患者さんはどの昆虫に刺されたのか分からないことが多いため、特異的IgE血液検査が特に重要になります3。
一般的な刺咬による症状は、痛み、炎症、発赤、かゆみなどで生命の危険をもたらすものではありません。ただし、より全身的な反応が起こる可能性もあり、じんましんや血管浮腫(皮下の腫れ)などの軽度なものから、胃腸症状、めまい、呼吸困難(呼吸が苦しい)などの中等度のもの、意識喪失や呼吸停止または心停止、アナフィラキシーショックなどの重度に分類されることがあります2。昆虫毒アレルギーは成人の重篤なアナフィラキシーの最も高い要因の1つとなっています3,4。
世界的にみてアレルギー反応を引き起こすもっとも一般的な昆虫は、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチやヒアリ*です1。マルハナバチは温室での受粉活動に使われることが増えていますが、その毒に対するアレルギーはまだ稀です2。よくいるミツバチは通常、皮膚に針を残し、針がなくなるか抜けるまでの期間のみ毒液を皮膚に送り続けますが、スズメバチ、アシナガバチ、およびヒアリは繰り返し刺すことができます3,4,5。刺すような昆虫は、晩春から初秋にかけてもっとも活発に活動します5。
ヒアリ(別名アカヒアリ)は南米大陸原産ですが、オーストラリア、北米、ニュージーランド、カリブ海、アジア、日本、ヨーロッパのいくつかの国にも生息しています。オーストラリアでは、トビキバハリアリとグリーンヘッドアントが主な刺蟻種で、前者は感作者の2~3%に重篤なアレルギー反応を引き起こします。東アジアでは、特定の羽アリ(オオハリアリ)がアナフィラキシーの重大なリスクをもたらします。また オーストラリアに生息するダニやサシガメなどの刺咬生物によってもアナフィラキシーを含む重篤な反応が引き起こされることがあります7。
さまざまなミツバチ種のアレルゲンは類似しており、マルハナバチの毒はミツバチのものと同程度であるため、どちらも高い交差反応性を示します3。さらに、特定のヒアリ毒の特性には、ミツバチやスズメバチ、アシナガバチのアレルゲンと若干の交差反応性を有しています7。
昆虫毒アレルギーを持つ患者さんの59%が、ミツバチとスズメバチ、アシナガバチの毒に陽性反応を示します。これらの人々の中には、本当に多重陽性(両方のタイプの毒に感作されている)を持っている人もいますが、糖鎖などの無関係な交差反応性炭水化物決定因子(CCD)により交差反応を起こしている場合もあります8。効果的な管理プランを実施するためには、多重陽性と臨床的に無関係な交差反応性を区別することが極めて重要です9。
※他に感作または交差反応を起こしうるアレルゲンは人により異なるため、自己判断せずに必ず医師の診断を受けることが必要です。
症状を引き起こす各アレルゲンに含まれるタンパク質や成分を知ることは、どのタイプの昆虫毒が引き金となっているかを区別するのに役立ちます。このことを念頭に置いて、症状の病歴に基づき、担医師の判断のもと 特異的IgE検査を使用する場合があります。この検査の結果は、アレルゲン免疫療法によって症状が軽減されるかどうかを医師が判断する際にも役立ちます3。
*薬事未承認品
刺された時の反応には個人差がありますが、典型的な反応としては、刺された部位に限局した痛み、腫れ、発赤などが挙げられます5。しかしながら、一部の人々は過剰に局所的な腫れを発症し、この腫れは、刺された直後から1〜2時間でピークに達することもあれば、数時間後に起こり、2〜48時間かけて増大し、3〜10日後に消失することもあります4。また、刺された部位を超えて広がる大きな局所反応も起こり得ます5。
ヒアリの刺傷には、刺された部位にかゆみを伴う局所的なしこりが生じる場合があり、通常は30〜60分以内に消失します。その後、4時間以内に小さな水疱ができ、最終的には壊死します。ただし、水疱は破らない限り、感染する可能性はほとんどありません5。
ごく一部の人は、全身性の反応を示しますが、これには通常、以下のような軽度、中等度、重度の反応が含まれます2,4。
軽度の反応は以下が含まれ、皮膚や皮下組織に影響を及ぼします4。
重篤な反応には以下が含まれます2,4。
昆虫毒アレルギーもアナフィラキシーを引き起こす可能性があり、その場合は以下のような症状が現れます6。
症状の重症度は、身体運動、高齢、肥満細胞障害の有無、性別など、さまざまな危険因子や副因子によって増幅される可能性があります2。軽度の全身反応を示す成人のうち、約10%は、その後の刺傷でより重篤な反応を示します。一方で、最初の刺傷で中等度または重度の反応を示した患者さんのうち、約45%がその後の刺傷に対して反応を示します7。血清病のような症状、ギランバレー症候群、血管炎などの副反応が起こる場合があります2。
アレルギー症状の原因を知ることは、治療や対策への第一歩です。自己判断せず、きちんと医療機関を受診して医師による適切な診断を受ける必要がありますので、医師に相談するために症状を記録しておきましょう。症状の記録とともに、皮膚プリックテストなどの検査が役立ちます。アレルギーと診断された場合は、医師の指導に従ってください。
昆虫毒アレルギーは、成人における重篤なアナフィラキシーのもっとも高い要因のひとつです3。推定1〜7%の人が、虫刺されに対して即時型の全身反応を示します4。さらに、重篤なアナフィラキシー症例の小児約20%と成人約48%のそれぞれが、虫刺されが原因となっています。