小麦アレルギーのタイプはさまざまですが、ほとんどは、食べた後に短時間で症状が現れる即時型の小麦アレルギーです。
小麦アレルギーの人は、食べなくても小麦粉を吸い込んだり、触れたりすることで症状が出ることがあるので注意が必要です。
パン、うどん、マカロニ、スパゲティ、中華麺、麩、餃子や春巻きの皮、お好み焼き、天ぷら、とんかつなどの揚げもの、カレーやシチューのルウ、など
小麦アレルギーを持つ人の中には、大麦やライ麦など、他の穀物にアレルギー反応を起こすこともあります。これは小麦と、他の穀物に含まれるタンパク質(グルテン不溶性タンパク質)に交差抗原性があるためです2)。
注意するべき特殊型のアレルギーとして、 「小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA:wheat-dependent-exercise-induced anaphylaxis) 」があります3)。これは、小麦を含む食品を食べただけでは症状が起こらず、食べた後に、運動をすることで症状が起こり、さらに体調不良、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:non-steroidal anti-inflammatory Drugs) の内服、飲酒(成人の場合)や入浴などを行うことで症状が増強することがあります。
また、日本人の主食である米では、白米を食べることで即時型反応を起こすことはまれです5)。米ぬかの吸入や接触により呼吸症状や皮膚症状を起こす場合にも、精米した米は摂取できることが大部分です5)。気になる方は自己判断せず医師に相談しましょう。
小麦アレルギーは、小麦を食べるだけでなく、小麦粉を吸い込むことでぜん息症状を誘発することがあります。
製粉、製パン、製麺業者が小麦粉を吸い込むことでぜん息症状を誘発するケースがあります。これは、パン職人ぜん息 (Baker‘s Asthma)とよばれ、職業で小麦粉を扱ってしまう人にみられることがあります。
小麦粉やお好み焼き、ホットケーキミックスなどの粉製品は、開封後の保存方法が適切ではない場合、ダニが大量に繁殖することがあります。ダニが繁殖した粉製品で作られたお好み焼きなどを食べた時に、粉に含まれたダニが原因でアレルギー症状を起こすことが報告されています3),4)。お好み焼きやホットケーキミックスなどの粉製品は開封した後は、早めに食べる、保存する場合は密閉した容器へ入れて冷蔵保存が好ましいです。
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1) 海老澤元宏編.症例を通して学ぶ食物アレルギーのすべて改訂2版.南山堂.2018;85.
2) Jones SM, Magnolfi CF, Cooke SK, et al. Immunologic cross-reactivity among cereal grains and grasses in children with food hypersensivity. J Allergy Clin Immunol ;1995; 96(3):341-51.
3) 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会・海老澤元宏・伊藤浩明・藤澤隆夫監修.食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》.協和企画.2018;67-68, 142-148.
4) 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会・海老澤元宏・伊藤浩明・藤澤隆夫監修.食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》.協和企画.2018;20.
5) 日本小児アレルギー学会.食物アレルギーハンドブック.2014.協和企画.2014;58.
6) 日本アレルギー秋季学術大会.2013;O4-7
7) 原敦子ほか.アレルギー.2006;55(5),574-577
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