この検査は、アレルギーの原因を調べ、症状との関係を理解し、対策や治療に役立てるための検査です。花粉やダニ、食物などのアレルギーの原因として疑われる項目に反応する抗体(特異的IgE抗体)の量を血液で調べます。医師は症状や生活環境、食事内容などを参考に、原因として疑われる項目を選択して検査を行います。
血液で調べる特異的IgE抗体検査にはいくつか種類があります。特異的IgE抗体とは、特定のアレルギーの原因に反応して体内で作られる抗体です。約200種類の検査項目の中から、原因として疑われる項目を1種類ずつ選んで組み合わせる検査のほか、あらかじめ組み合わされた項目でアレルギーの原因を一度に多く調べられる検査や、指先からの採血により20分で結果がわかる検査などがあります。
1種類ずつ組み合わせる検査では、長年にわたる診療の積み重ねにより、検査結果と症状との関係について多くの知見が蓄積されています1,2)。症状との関連性などのデータは、医師が診察を行う上で参考となります。
患者さんごとに必要な検査項目を選ぶことができるだけでなく、アレルギーの原因を調べる際の参考となるほか、一度アレルギーの原因として診断されたものに対して経過観察をする際などにも使用されます。
日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。
抗体とは、体内に入ってきた異物に反応して体の中で作られるものです。特異的IgE抗体は、花粉やダニ、食べ物などのアレルギーの原因に反応して体内で作られる抗体です。特異的IgE抗体検査では、この抗体の量を測定することで、アレルギー症状との関連を調べます。
1種類ずつ組み合わせるアレルギー検査では、約200種類の項目から必要な項目を選択して検査できます。医師が問診の内容をもとに検査項目を決定します。
アレルギーの原因は人によって異なります。医師は症状が出た時の状況や食事内容、生活環境などをもとに、原因として疑われる項目を選択して検査を行います。原因候補を絞ったうえで検査を行うことで、検査結果を症状とあわせて評価しやすくなり、診断に役立てることができます1,2)。
アレルギー検査は、内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科などで実施されています。実施している検査内容は医療機関によって異なるため、かかりつけ医やお近くの医療機関へご相談ください。
検査内容や医療機関によって異なります。また、保険適用の有無も症状や受診状況によって異なります。費用については、受診する医療機関へ確認することをおすすめします。医療機関によっては、受けられる検査の種類や費用をホームページで案内している場合があります。
保険適用の範囲内で一度の採血で実施できる項目数には上限があります。医師は、症状が出た時の状況を詳しく問診し、疑われる項目を選択し、検査項目を決めていきます。
スギ、ヒノキ、ハンノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなど、季節に飛散する花粉が原因として疑われる場合に調べることができます
ガ4)、アスペルギルス(コウジカビ)、アルテルナリア(ススカビ)5)など、季節によって増えるものが原因として疑われる場合に調べることができます
ヤケヒョウヒダニ、ネコのフケ、イヌのフケ、ゴキブリ、カビ類など、屋内にあるものが原因として疑われる場合に調べることができます
卵白、オボムコイド*、ミルク、小麦など、0歳代に食物アレルギーの原因となりやすい代表的な項目を調べることができます
ナッツ類、卵白、オボムコイド*、ピーナッツ、いくら、小麦など、幼児期に食物アレルギーの原因となりやすい代表的な項目を調べることができます
小麦、甲殻類、果実類、大豆、Gly m 4(大豆由来)**など、成人に食物アレルギーの原因となりやすい代表的な項目を調べることができます
*加熱卵摂取可能かの判断の指標となる卵白の成分です。
**大豆由来の成分のひとつで成人の大豆加工品(豆乳など)アレルギーの原因とされています。
特異的IgE検査では、抗体の濃度に応じて「陽性」または「陰性」と判定されます。陽性は、そのアレルギーの原因となる物質に対する反応を起こしやすい状態(感作)があることを示し、その物質がアレルギーの原因である可能性があります。陰性は、その可能性が低いことを示します1,2,8)。
血液検査の結果は、陰性/陽性といった判定に加えて、クラスで示されるという特徴もあります。
クラスとは、特異的IgE抗体の量をわかりやすく段階で表したものです。一般的に、クラスが高いほど特異的IgE抗体の量が多いことを示します。
クラスや数値(抗体の量/濃度)はアレルギー症状との関連を判断するための参考情報ですが、それだけで症状の有無や重症度を判断することはできません。
特異的IgE検査は感作の有無を示すものであり、結果は症状や病歴とあわせて解釈する必要があります1,2,8)。
判定
クラス
抗体の濃度(UA/mL)
陰性
0
0.35未満
陽性
1
0.35以上0.7未満
陽性
2
0.7以上3.5未満
陽性
3
3.5以上17.5未満
陽性
4
17.5以上50未満
陽性
5
50以上100未満
陽性
6
100以上
症状誘発の可能性3)
特異的IgE抗体の量が多いほど、症状を引き起こす可能性が高いことを示しますが、必ずしも症状の有無や重症度を反映するものではないことに注意が必要です1,2,8)。そのため、食物アレルギーの場合には、特異的IgE検査だけでなく、実際に食べて症状が出るかどうかをみる食物経口負荷試験を実施して診断が行われます。
血液検査で行われる特異的IgE検査は、アレルギー診断の参考情報の一つです。診断は医師のもと総合的に判断されます8)。アレルギー検査を受けた場合は、結果を自己判断せず、医師に相談しましょう。
日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。
アレルギーの診断では、問診や症状の確認をもとに原因として疑われる項目を検討し、必要に応じて特異的IgE検査などを行います。その結果を総合的に評価して診断が行われます1,2)。アレルギーの診断は血液検査だけで決まるものではなく、症状や問診結果とあわせて医師が総合的に判断します。
アレルギーかも?
と思ったら医師に相談しましょう。
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1)日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会. 海老澤元宏, 伊藤浩明, 藤澤隆夫監修. 食物アレルギー診療ガイドライン2021. 協和企画. 2021;88-95.
2)「食物アレルギーの診療の手引き2023」検討委員会. 食物アレルギーの診療の手引き2023. 2023;12-16.
3)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会. 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2024年版(改訂第10版). ライフサイエンス出版. 2024;22-25.
4)武藤敦彦. 汚染源としての昆虫. アレルギー・免疫. 2000;7(4):448-458.
5)高鳥浩介. 環境真菌と生態. Med Mycol J. 2014;55(3):97-105.
6)秋山一男, 福冨友馬. ハウスダストの構成アレルゲン. アレルギー・免疫. 2013;20(3):418-425.
7)消費者庁. 令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書. 2024;5-6. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_241031_1.pdf (最終閲覧日:2026年6月11日)
8)Cox L, Williams B, Sicherer S, Oppenheimer J, Sher L, Hamilton R, et al. Pearls and pitfalls of allergy diagnostic testing: report from the American College of Allergy, Asthma and Immunology/American Academy of Allergy, Asthma and Immunology Specific IgE Test Task Force. Ann Allergy Asthma Immunol. 2008;101(6):580-592.